【パリ=松井孝予通信員】仏「エルメス」は、メンズプレタポルテのクリエイティブディレクター(CD)に英デザイナーのグレース・ウェールズ・ボナー氏を任命した。ファーストコレクションは27年1月のパリ・メンズファッションウィークで発表される。
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ロンドンを拠点に自身の名を冠したブランドを手掛ける同氏は、ジャマイカ系のルーツを持ち、アートや文学に通じる知的なアプローチで知られる。14年にブランドを設立し、18年からウィメンズも展開している。精緻(せいち)なテーラリングとスポーツウェアの軽やかさを融合させた独自のスタイルを確立。「アディダス」との協業コレクションは完売が続き、商業的に成功している。21年のCFDAアワードに続き、24年にブリティッシュ・ファッションアワードを受賞した。
37年間にわたり同部門を率いたヴェロニク・ニシャニアン氏は仏紙のインタビューで「まだ(デザインの)アイデアはあるが、今は自分の時間を旅や夢に使いたい。長年の夢は日本で数カ月過ごすこと」と語り、退任については1~2年前から経営陣と話し合ってきたという。
エルメスのウェア&アクセサリー部門の24年売上高は前年比15%増の44億ユーロ。レザーグッズに次ぎ、メゾンの成長を支える重要なカテゴリーとなっている。