エルメスがフィレンツェの中心地に新店をオープンした。ヴィア・デッリ・ストロッツィとヴィア・デイ・ヴェッキエッティの角に位置する同店は、エルメスの16のメティエ(職種)が響き合い、創造性を感じさせる空間が広がる。その建築と空間設計は、フィレンツェの文化的背景に寄り添い、ローカルとの結びつきを大切にしている。1578年築のルネサンス様式の建物を丁寧に修復し、大理石の階段や銅色のラッカー天井といった装飾を施すことで、フィレンツェの伝統とエルメスの美学との調和を創り上げた。
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ウィンドーディスプレーには、デザイナーのアンドレア・マンキューゾがフィレンツェの街並みを幻想的に再解釈したミニチュアのシティースケープを採用。エルメスのシグネチャーである馬車やクラフツマンシップの要素を、フィレンツェの芸術的遺産と融合させ、メゾンの精神を視覚的に表現している。
店内のレザーグッズエリアには、クリスチャン・ヒダカによるアートワーク「ペーパーロール」が飾られている。木製パネルに描かれたこの店舗のために特別に制作されたこの作品は、エルメスの象徴的な馬車と御者の姿を、紙を用いた独自の手法で再解釈し、メゾンの伝統と革新が融合する空間を際立たせている。
(パリ=松井孝予通信員)