エルメスがオートクチュールに参入 「匠の技」を追求

2025/02/20 11:55 更新


 【パリ=松井孝予通信員】仏「エルメス」は、オートクチュールに参入する意向を明らかにした。24年決算発表の場で、アクセル・デュマCEO(最高経営責任者)は、26年または27年にメゾン初のオートクチュールショーを開催したいと話した。

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 ウェア&アクセサリー部門の24年の売上高は前年比15%増の44億ユーロ。総売上高の29%を占めるまでに成長し、同社の重要な事業領域となっている。デュマ氏は、オートクチュール参入はマーケティング戦略ではなく、昨年9月のインタビュー時に浮かんだと説明。すでにデザインチーム内でもその意向があったという。

 オートクチュールはラグジュアリーメゾンにとってブランディングの要であり、収益性よりもクラフツマンシップの象徴と位置付けられる。デュマ氏は「誰かに報酬を支払って服を着てもらい、作られたイメージで演出するつもりはない」と述べ、エルメスの理念である「サヴォワールフェール」(匠の技)の追求を強調した。

 ビジューでも強化を進める。好調なハイジュエリーコレクションの新作発表サイクルを、従来の2年に1度から短縮する方針を示した。

 オートクチュールの称号はフランスの政令に基づき保護されており、特定の基準を満たすことが求められる。エルメスがこの領域に進出することで、ラグジュアリーにおけるポジションがどう変化するかが注目される。

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