桐たんすの田中家具製作所 「カビさせない」レザーバッグ専用保管箱を開発

2023/09/01 06:28 更新


積み重ね可能で6個のバッグが入る「ラ・キャレ・ドゥ」

 「大事にしている皮革のバッグにカビが生えた。桐たんすで保管したいけれどもサイズや形が合わない」。こうした声を受け、田中家具製作所(大阪府岸和田市)は、「総桐製高級レザーバック専用保管ボックス」を開発した。昨年から「ラ・キャレ」(仏語で正方形)のブランドで、バッグ2個を収納できる商品を大丸心斎橋店でテスト販売。今秋には6個収納可能な「ラ・キャレ・ドゥ」を開発し、同店や自社の店舗、EC、他の百貨店で販売していく。

 総桐たんすは、調湿・防カビ・防虫・耐火・軽量性に優れ、昔からきものの保管などで愛用されてきた。同社は高級品と言われる「大阪泉州桐箪笥」の代表企業の一つだ。創業104年の歴史を持ち、伝統工芸士を抱える。難度の高い修理や再生も手掛けており、何代にもわたり愛用できることも特徴だ。

工程の随所に職人の技が生きる

 全工程を岸和田の工房で一貫生産。東北や北米産の原木の選定、3年間屋外でさらしてあく抜きする工程、木目を考えながら部材を配置する木取り、火による歪み直し、釘などを使わない複雑な組み手加工など随所に職人の技が生きる。

桐材は3年間かけて屋外でアク抜きする

 ただ、和装や和室の減少を背景に、「女性の顧客の開拓、将来の人材確保のためには、新しい挑戦が不可欠」と判断。公的な産業支援機関である岸和田ビジネスサポートセンター(キシビズ)の協力も得ながら、ラ・キャレシリーズを開発した。

 ラ・キャレは各44センチの立方体で天然オイル塗装の3色、新商品のラ・キャレ・ドゥは100センチ×42センチ×45.5センチの横長型で5色を揃える。積み重ね可能なフラップ式総桐たんす(税込み16万5000円予定)が主力商品。焼桐衣装箱型もあり、相談による特注や特別仕様も可能。納品には30~50日を見込む。

 店頭のほか、外商ルートの販売にも期待する。ニーズを見てシューズ向けなどの開発も進める。また、同社は全国の伝統工芸士などが参画する「凄腕職人街」のメンバーでもあり、インバウンドの復活、関西万博などの機会を捉え、桐たんすの認知度向上、海外市場の開拓も目指していく。

田中由紀彦社長(右)と田中美志樹専務


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