これからのファッションを扱う店頭では洋服を売りっぱなしにしていては顧客との信頼関係は深まりません。接客時にしっかりとメンテナンスなどアフターケアまで伝えられることがリアル店の強みとして求められています。
クリーニングが難しい素材のお手入れやメンテナンスについて「ケアメンテ」サービスを提供するハッピーの橋本英夫社長に聞きました。ぜひ、接客に使ってみてください。
上質で繊細なウールのスーツはクリーニングに出さず、ブラッシングだけでいいと聞きますが、本当ですか?
高級スーツでも洗浄できます。最近の紳士スーツ事情はポリエステル混の家庭洗濯が可能な低価格品も販売されていますが、高級なスーツはまだまだウールが基本で、細番手のデリケートなものやシルク混、カシミヤ混なども目立ちます。
日頃のブラッシングは大事ですが、それだけでは不十分です。かつてテーラーなどがクリーニングに出さない方がいいと言っていたのは、出しても結局、汚れが落ちなかったり、風合いを損なったりとトラブルが多かったからでしょう。
汚れを落とし長持ちさせるなら水洗いが一番ですが、ウールの繊維表面はウロコ状のスケールがあり、汗など湿気や摩擦が加わるとスケールが開きからみ合いフェルト化してしまいます。また、高級獣毛は当社の場合、水に漬けるだけで縮み、風合いも損なわれるので、水洗いはタブーとされてきました。
しかし、当社の場合、ダウンの項でも説明した「水油系・アクアドライ」と「無重力バランス洗浄」によって、これらの問題を解決しました。その際、繊維を保護し水洗いによるスケールのからみ合いを起こさせず風合いを保つサイジング加工剤を加えます。
さらに人体工学に基づいたアイロンプレスツール(馬型)を独自開発し、職人のアイロンワークによって立体的なシルエットを再現できるようになりました。
【続く】