アート×ファッションで魅力を広げる「ゲルニカ」 百貨店での期間限定店を強化

2025/10/01 11:30 更新NEW!


アートを切り口にした提案で幅広い客層を引き付けている

 アーティストの乾シンイチロウが手掛ける「ゲルニカ」(社名はシンイチロウイヌイ、大阪府東大阪市)が、百貨店で期間限定店を意欲的に開催している。24年に着手したところ、「ハイブランドを一通り着た方が来店して楽しむなど、意外な出会いが広がる」(乾シンイチロウ代表)ことから、年間で20店ぐらい出店するようになった。

(小畔能貴)

 乾さんは幼少期から絵を描き、18歳でアメリカに渡りオレゴン大学でアートを学んだ。11年に第2回ウォールオーディション(アッシュ・ペー・フランス主催)で大賞を受賞。15年に原宿で個展を開催したのをきっかけに、アートを柱にしつつ、ファッション業界とのかかわりを広げてきた。

 12年に立ち上げたゲルニカは、メッセージのある落書きのようなペイントをバッグや服に施すなど、アートとファッションの垣根を超えた提案を目指している。「最初は古着をリメイクする形からスタートしたが、今は8割が新品で、国産ジーンズなどもある」。卸先に感度の高いセレクト店約20店を持つ。

「ゲルニカ」のTシャツ
「ゲルニカ」のGジャン

 24年に高島屋京都店に期間限定店を出したのをきっかけに、他の百貨店からも引き合いが増え、期間限定店を出す機会が広がった。開催場所によるが、来店・購買層は男女半分ずつで、20代から60、70代までの幅広い客が期間限定店を楽しんでいる。

百貨店で展開している「ゲルニカ」期間限定店

 社内のスタッフは昨年5人が加わり10人に増えた。ハンドペインティングだけでなく、インクジェットプリンターなどを持ち、「自社である程度物作りができ、スピーディーに対応できる体制がある」。こうした強みも生かし一度に3、4カ所で同時に出店することもできる。25年9月は大丸札幌店と阪急メンズ大阪への初出店を含む5店の期間限定店を出している。

 今後の目標は、「日本のカルチャーの魅力をもっと発信していくこと」。「互いに協力し、新しい一面を生み出せたら面白い」と考える。

 これまで「らんま1/2」「パックマン」などと協業した商品を打ち出してきたが、最近は「オリオンビール」との協業Tシャツの販売も開始した。「海外の人にも楽しんでもらえるかどうか、という視点も大事にしている」という。



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