銀座テーラーが挑む、新業態クロト

2016/09/08 05:59 更新


 活況が続くオーダースーツ業界で老舗が新業態に挑む――銀座テーラーグループは今秋、若い世代の新規開拓を目指し、オーダースーツとリフォームを切り口とした新業態「クロト」を東京・銀座の商業施設内にオープンした。2年以内に多店舗化も計画している。

 新業態は本店の手縫いの味を残しつつ、国内工場で作り、オーダースーツで7万~13万円と手の届く価格帯にした。オリジナルのパターンでフル毛芯仕立て。

  靴から洋品まで買い付け、トータルコーディネートを提案する。従来のテーラーにある固く重いイメージを払拭(ふっしょく)するため、クロトは銀座ファイブの2階で明るく開放的な空間にした。約53平方㍍。

 リフォームでは職人が常駐し、単なる丈詰めだけでなく、テーラーで培った技術を生かした本格的なお直しに対応する。「祖父のスーツをレディスのジレにリメイクして生まれ変わらせるなど大切な服を長く愛用してもらうお手伝いをしたい」(鰐渕美恵子社長)と強調する。

 新業態は若手育成の場にも位置付けており、店長とリフォーム職人とも同社の「日本テーラー技術学院」で服作りを学んだスタッフを配置した。

 同社は1935年に創業の老舗テーラー。手縫いによる高級スーツは歴代総理大臣など政財界にも多くの顧客を持つ。06年には業界の職人不足を解決するため、日本テーラー技術学院も設立し、人材育成にも取り組む。銀座テーラー本店はここ3年の売り上げが前年比10%増ペースで推移している。

オーダースーツとリフォームを軸とした新業態「クロト」



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