【サンフランシスコ=立野啓子通信員】米最大のSPA(製造小売業)、ギャップ(サンフランシスコ)は3月23日付で、16年度以来「オールドネイビー」のCEO(最高経営責任者)を務めてきた、ソニア・シンガル氏が社のCEOに就任すると発表した。昨年11月にアート・ペック前CEOが退任し、代わって創業者一族で非常勤取締役のボブ・フィッシャー氏が臨時CEOとして指揮を執っていた。同社にとって初の女性CEO誕生となる。
シンガル氏は04年入社、欧州のマネジングディレクター、国際部とそのアウトレット部門の副社長、グローバルサプライチェーンと生産管理の責任者として活躍。3年間でオールドネイビーを70億ドルから80億ドル、北米1200店規模に育てた実績を評価された抜擢(ばってき)である。
オールドネイビーは、「ギャップ」「バナナリパブリック」が低迷するなか、既存店増収が続き、けん引力となってきた。その好調さから昨年3月には分社化する案が出されていたが、19年度は既存店減収が続き分社化は中止、提案したペックCEOも退任した。
シンガル氏は「豊かな遺産と約13万人の従業員を抱える会社を変革し、未来に向けて築いていく任務を誇りに思う」とコメントした。ギャップ入社以前はサンマイクロシステムズで生産・サプライチェーンのロジスティックと戦略を担当し、サプライチェーン管理のベテランでもある。シンガル氏に託されるのは社の顔でもあり、これまで何度かデザイナーやCEOが交代するも回復困難だったギャップブランドの回復であり、最大ブランドのオールドネイビーの健全な成長である。