【ゲームチェンジャーU35】⑤レディ・トゥ・ファッション社長 高野聡司さん

2017/05/07 06:50 更新


「業界の諸先輩が多くのことを教えてくれた。その恩返しとして業界に貢献したい」という高野さん

■業界と学生をつなぐ架け橋に


 ファッションが好きであるにもかかわらず、労働条件や将来性を考慮してファッション業界への就職をためらう学生は少なくない。毎年のように有望な人材が他業種へと流出している。今、業界が直面するこの課題の解決に挑んでいるのが、レディ・トゥ・ファッション(RTF)だ。社長は高野聡司さん(23歳)。若さと柔軟な発想を武器に、ファッション業界と学生をつなげようとしている。


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■若いからできる


 高野さんは大学入学後、ファッションマガジンを発刊するサークルに所属した。大学3年の夏に引退、就職活動を始める際に「自分だからこそファッション業界にできることは何か」を考え、学生団体としてのRTFを発足。これが同社の前身だ。

 15年3月に、発足後初のイベントとして、アパレル企業と学生とをつなぐトークイベントを開催。佐々木進ジュン社長らの業界幹部にも登壇してもらい、同時期に開かれていたメルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク東京の関連イベントとして行ったことで、話題となった。その後も学生がファッション業界を知るためのイベントの企画・運営を続けた。

 こうして深く関わっていくうちに「業界に貢献したい」という気持ちが強まった。しかし、「ファッションが好きなだけでは業界の役には立てない。ウェブやIT(情報技術)の知識も必要だ」と感じ、アパレル企業向けのEC支援などを行うルビー・グループに入社。業界向けのニュースアプリの開発・運営に携わった。しかし、「仕事は充実していたが、若さを生かし、今だからこそ業界の役に立てることもあるのでは」と同社を退社。16年にRTFを株式会社化した。



■夢が語れる企業に


 「イベントだけでは業界への貢献度は薄い」ことから、3月下旬をめどに、ファッション業界に特化した求人サービスを始める。背景には、業界の大きな問題、人材不足がある。これまで、求人サービスといえば人材会社を介する形がほとんどだったが、新サービスはSNS(交流サイト)型の求人プラットフォームの形を取る。企業の担当者と個人とが直接つながれる仕組みで利用効果を高めていく。

「業界の諸先輩が多くのことを教えてくれた。その恩返しとして業界に貢献したい」という高野さん


 具体的には、企業は新卒、アルバイト、インターンといったカテゴリー別に募集やイベント情報を掲載。学生を中心とした若い求職者は、履歴書を兼ねたプロフィールとして、年齢や経歴、連絡先だけでなく、好きなファッションブランドやインスタグラムなどのSNSのアカウントなども掲載する。

 こうして企業と求職者が互いを吟味する仕組みだ。企業側は数本の募集・イベント告知記事の掲載と最大10人分の求職者プロフィールの閲覧が無料でできる。月額3万5000円を支払えば、記事掲載、プロフィール閲覧の数が無制限になる。

 「ファッション業界を目指す若者が減っていることの一番の解決方法は、コミュニケーションを取ること」と考える。「今、人が集まる異業種は若者に対してちゃんと夢を語るし、そのための場を設けている」が、ファッション業界は「興味を持っている若者に対して企業が直接コミニケーションを取る場がほとんど無い」と分析する。新サービスがこうした場の一つとなり、ファッション企業の人材獲得を促す。


93年広島県生まれ。早稲田大学卒業。在学中に学生団体「レディ・トゥ・ファッション」を立ち上げる。16年11月にレディ・トゥ・ファッションを設立し、社長に就任。



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