「マリメッコ」で32年にわたってテキスタイルデザイナーを務め、400点を超えるデザインを残した石本藤雄氏。77歳を迎えた今は、同じフィンランドの陶器メーカー「アラビア」アート部門で陶芸製作に取り組んでいる。
明日9日から、京都の細見美術館で「石本藤雄展~マリメッコの花から陶の実へ~琳派との対話」と題した展示会が開幕。マリメッコ時代のテキスタイルと近年の陶芸作品、これに細見美術館が収蔵する本阿弥光悦・俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一など琳派の貴重な作品を組み合わせたコレクションを展示する。会期は4月21日まで。
会場では、筒状のプリントテキスタイルが何本も天井から吊り下がり、ガラスケースの中には琳派の掛け軸と、掛け軸との相性を考えた柄のテキスタイルが並ぶ。
別室は、琳派と陶芸作品のコラボで、家鴨を描いた金屏風の前に、冬瓜を模した楕円形の陶芸作品が置かれ、一際来場者の目を引く。
そのほか、京都展に先駆けて、石本氏の地元である愛媛県美術館での展示会向けに作り上げた直近のユニークな作品「オオイヌノフグリ」、石本氏の昔のデザイン原画なども見物だ。
今回の展示会にはワコールグループが企画に協力。細見美術館近くには、同社が運営する京町屋を活用した宿泊施設「京の温所(おんどころ)岡崎」があり、展示会と連動した特別宿泊プランも用意した。温所の床の間には石本氏の作品が飾られ、宿泊者には展示会への招待券、石本氏がパッケージデザインした羊羹、ポストカードなどが用意されている。