日本発のスニーカー「フラワーマウンテン」がグローバルビジネスを順調に伸ばしている。イタリアの販売代理店を通じて欧州市場で販路を拡大。伊メンズ総合展ピッティ・イマージネ・ウオモでは、一部のスタッフユニフォームとして協賛する。デザイナーの太田圭輔さんに成功要因を聞いた。
(須田渉美)
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ブランドを始めて25年秋冬で10周年を迎えます。日本はブリースジャパンが販売を担当し、欧米市場は7年前に代理店契約した伊FALCが窓口となって販路を広げてきました。イタリア、英国で人気があり、北欧や東欧、韓国、オーストラリアなど売り先は約50カ国になります。足数ベースで約80%が海外向けです。
欧州で受けているのは、複雑なカットや縫製のディテールなど、ハンドメイドの表現に特徴を出していることです。ぬくもりのある雰囲気が伝わり、大量生産のスニーカーとは一線を画すことが出来ていると思います。自然の造形を発想源にしていて、その考え方は当初から変わりません。熱帯魚や花の色、山の稜線など、自然からしか見つけられないデザインソースがあります。
昨年6月に開催されたピッティ・イマージネ・ウオモでは、プロモーションの一つとして、カフェや受付などのスタッフに主力のモデル「ヤマノ3」を履いてもらいました。世界で最も早い展示会で認知を広げたいと試みたことですが、評判が良かったので、今年の1月展は対象のスタッフを広げることになりました。
ほかにも、音楽アーティストとの接点を作るなど、ブランド価値を共有するコミュニティーを大事にしていますが、商業的にたくさん売ろうとは思っていません。作り過ぎず、いかに価格を維持できるか、そこに注意を払って長く継続させていきたい。現状は日本の小売価格で1足2万円台半ば、欧州で200ユーロ前後です。日本の高校生がアルバイト代で買えるぐらいでありたいと考えています。
今年は10周年を記念した協業にも複数取り組む予定です。英国のファッションデザイナーや僕が影響を受けた日本の作家など、新たな側面を見せていきたい。