「選ぶ時間も思い出にしてほしい」とは髪飾り専門店「髪飾りビュッフェエフフラワー」を運営するフラットプラス代表の中谷有抄さん。完成品を販売するのではなく、来店客が約500種類の花材やリボンなどのパーツの中から自由に選び、オリジナルの髪飾りが作れる。成人式や入学・卒業式、結婚式向けに人気があり、現在は高槻店を含む全国5店に拡大している。
(多田知史)
1パーツで違う印象
ハンドメイド作家として活動していた中谷さんは「髪飾りにこだわりたい」という声から、19年にオンラインで髪飾りの制作オーダーを開始した。やり取りを重ねる中で「1パーツ違うだけで印象が変わる」ことを痛感。色や配置の微妙な差は画面越しでは伝えきれない。そこで完成品販売ではなく、スタッフがアドバイスする形となった。
イベントでの体験型販売は好評だったものの、コロナ禍で中止が相次ぐ。「場所がないなら自分でつくろう」と、21年に高槻市でドライフラワー雑貨の実店舗を開いた。その後、SNSを中心に髪飾りの人気が広がり、遠方からの来客も増加。需要の拡大を受け、24年11月に髪飾り専門店を設けた。
セルフセレクトプランとスタッフによるコーディネートプランを用意し、高槻店では約6割が後者を選択。「その人らしさを大切に選んでいる」と中谷さん。セルフプランは1パーツ税込み550円から。コーディネートプランは予約制で、20パーツ1万4800円から購入可能だ。マネキンで確認でき、すぐに持ち帰れる。SNSのフォロワーは現在約1.9万人。25年にフランチャイズ店が東京、福岡、大阪にでき、26年1月には京都に2店目となる直営店を構えた。

家族が支える挑戦
中谷さんは高槻市出身の元小学校教諭。やりがいのある仕事だったが、無理を重ねて体調を崩し、起き上がれない日が続いた。転機となったのは、母の手伝いで始めたガーデニングだった。枯れていく花に「もったいない」と感じ、花を使ったレジンアクセサリーやドライフラワーの制作を始め、ハンドメイド作家となる。ハンドメイドECで販売し、評価を得ることで体調回復の後押しにもなった。

21年の実店舗開業は両親とともに踏み出した一歩だった。1階を両親が営むカフェ、2階でドライフラワー雑貨を販売し、一角を体験型髪飾りの空間とした。その後、制作量の増加を受け、両親にも制作を手伝ってもらうためカフェを閉店し、専門店へと移行した。
現在も両親は役員として経営を支える。商品の一つのカチューシャは母のデザインだ。挑戦には常に不安が伴うが、「やってみたらいい」という両親の言葉が背中を押してきた。中谷さんは「家族の存在が挑戦を続ける礎」と語る。
中谷さんは「髪飾りといえばエフフラワーという存在にしたい」とし、まだエフフラワーがない名古屋などの未出店地域への進出を目指す。
