アントワープでは現在、アントワープシックスの40周年を記念した展示がベルギーのモード博物館で開催されています。それに合わせて、アントワープ王立美術館では、10人の若手デザイナーによる展示が6月4日から始まりました。私もその1人として選ばれ、現在準備を進めています。今回の展示を通して、「個性」と「比較」について考える経験をしました。
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わかりやすさ
今回の展示に参加することになった理由を考えると、選ばれたデザイナーたちには共通点があるように感じました。作風や考え方がわかりやすいことです。
私の場合は、染めや工芸などをモダンに表現する取り組みを続けてきました。他の9人も、エコロジーやクラブカルチャーなどそれぞれはっきりした方向性を持っています。展示全体を構成する上でも、各人に異なる個性と役割が求められていたのだと思います。
比較の対象は他のデザイナーだけではありません。空間において、周囲のアート作品とどのような関係を結ぶかという点も重要でした。私は元々現代アートが好きで、特にコンセプトを重視する表現に影響を受けてきました。そのため今回は、よりアートに近い提案を考えていました。半年間の展示期間を意識し、繰り返し鑑賞されても新しい発見があるような、奥行きのある作品を目指していたのです。
しかし、制作の初期段階で方向性は大きく変わることになります。意外にも、美術館側が求めたのはより「ファッションらしい」表現でした。著名なアート作品が並ぶ空間の中では、アートに近づけるよりも、ファッションとしての特徴を明確にした方が際立つという判断だったのでしょう。
展示とは単に個々の作品を並べる場ではなく、それぞれの個性をどう対比させ、際立たせるかという視点で構成されているのだと学びました。

新鮮に映る
制作過程で最も印象的だったのは、パンフレット用の写真選びです。撮影はベルギーで行われ、私はオンラインでディレクションしました。最終的にはフィルム写真に差し替える予定だったため、仮の画像としてスマートフォンで撮影した写真を送りました。
しかし、美術館側が選んだのはその仮の写真だったのです。「自然で現代的だったから」という理由でした。モデルがキッチンでスタイリングを待っている途中の様子を捉えた写真で、いわゆる完成されたファッション写真とはほど遠いもの。他のデザイナーたちの洗練したルック写真が並ぶ中では、撮影途中のようなリアルな写真の方がかえって際立って映るということだと思います。展示空間では「ファッションとして強く見えること」が求められていた一方で、パンフレットでは逆に「ファッションらしくなさ」が新鮮さをもたらす。何が強く見えるかは作品単体ではなく、周囲との関係によって変わるのです。
今回の経験を通して強く感じたのは、展示を構成する側は、それぞれの作品にどのような役割を持たせるか緻密(ちみつ)に計算しているということです。個性は他者との比較からは生まれません。しかし、比較されることで輪郭を持つのだと実感しました。

