「レディスオーダーの市場を広げたい」。オーダー洋服サロン「ReToRu」(レトル)社長の冨田圭衣子さんは、女性が本当に着たいと思える洋服作りを目指している。独学で子供服のオーダー事業を立ち上げ、その後レディスのオーダースーツへと扱いを広げてきた。このほど、店舗兼工房を名古屋市内に設け、営業体制と物作り機能を強化した。
(浅岡達夫)
新拠点は、同じ名古屋市内にあった旧店舗と比べて大幅にスペースを増やした。新規開拓に向けた営業体制を整えるとともに、縫製やサンプル作りの機能も拡充した。今後は全国のオーダー店との連携を広げ、受け皿としての機能を高める考えだ。
子供服作りが原点
冨田さんは愛知県の岡崎市出身。結婚・出産を機に、豊川市で「自分が思う洋服を子供に着せたい」と考え、見よう見まねで子供服を作り始めた。生来の器用さと熱心さもあり、ママ友の間で評判になり、「子供服や帽子、バッグなどを作るようになった」。

その後「ママ友から片腕となる人材が現れ、アパレル出身の縫製経験者が社員になった」ことで体制を整え、自社ブランド「レトル」を広げていった。レトルの「レ」と「ル」は「長女と長男の名前の頭文字から取った。子供のための洋服、顧客のための洋服という思いをブランド名に込めた」という。
事情があり、一度は事業を休業した。その後、岡崎に戻って再スタートし、名古屋にも拠点を構えるようになってからは、メンズ、レディスのオーダースーツを手掛けるようになった。「テーラー経験者の教えを受け、〝女性に必要なオーダースーツを作って届けたい〟と思うようになった」と冨田さんは振り返る。
コロナ禍を経て、長女の流令(るの)さんがオーダースーツ事業に加わった。「彼女はデザインやサンプル作りを担い、自分は縫製管理や経営など全般を見る。これからは志を同じくする人を集めて、レディスオーダースーツ事業を広げたい」とする。
チャレンジスペース
新拠点は、名古屋市北区にある、自宅兼縫製工場だった2階建ての建物。住居だった1階をフルリノベーションし、サンプル工房と、協業する人とのチャレンジスペースを設けた。2階は縫製スペースとした。
「顧客のために1着すべてを丸縫いする縫製スタッフを採用し、育てたい。しっかりと給料がもらえるオーダー企業を目指す。そのためには、まだ欠けている受注体制や生地の調達先の開拓、縫製技術の向上などに取り組む」とする。
さらに「M&A(企業の合併・買収)なども含め、自家縫製工場も作りたい。オーダーメイド専門の縫製士を対象とする国家資格の創設に向けて努力したい」と話す。女性のためのオーダー服作りを起点に、担い手の育成や産業としての基盤作りにも挑もうとしている。
