【ファッションとサステイナビリティー】エイチ・ツー・オーリテイリング経営企画室サステナビリティ推進部長 西田哲也氏 従業員の熱量の総和を高める

2021/04/26 05:59 更新


 阪急うめだ本店は20年10月、〝未来につながる〟をテーマにした全館イベント「グッド・フォー・ザ・フューチャー」を開催した。21年3月には、阪急メンズ大阪が日本環境協会のエコマークの小売店舗向け認定を取得している。4月に、CSR推進部を発展させる形でサステナビリティ推進部を新設した。初代部長であり、阪急阪神百貨店経営企画室サステナビリティ推進部DMでもある西田氏に百貨店の取り組みを中心に聞いた。

 地域にどう関わっていくか。地域の子供たちの未来をどう応援できるか。環境に対して企業としてどう向かい合うか、を重要テーマに決めました。また、会社の活動ではなく、従業員、売り場、店が一緒に取り組む〝私たちの活動〟となることが全ての基盤だと考えています。百貨店もテーマは同じ。文化と伝統の継承については、百貨店ならではのテーマとして取り組んでいきます。

 こうした活動を事業活動と切り離すのではなく、事業活動のなかに自然と溶け込ませて持続的に課題解決していこうとしています。ビジョンである「お客様の暮らしを楽しく、心を豊かに、未来を元気にする『楽しさNo1.百貨店』」が全ての活動のベースであり、それにCSR(企業の社会的責任)やサステイナビリティー活動が連動することが一番大事なことです。

 サステイナブルであることに意識の高い従業員が増えており、イベント什器の木材の組み換え利用に挑戦するなど自主的な動きも広がっています。私たちの部署としては、こうした人たちの熱量をさらに高めたり、つなげていきたい。従業員の熱量の総和が会社や社会を変えていくエネルギーになりますし、次の世代につなげていくためにも一人ひとりの意識が重要です。

 まずは環境対策推進プロジェクトを全社的に動かし始めたところですが、プロジェクトメンバーには現状の見える化から考えてもらっています。決められたことをやるのではなく、現状把握で気づきを得ることは大事なプロセス。プラスチック削減、什器・装飾物廃棄削減など六つの分科会で進めていますが、アイデアがどんどんわき上がっており、その熱量に押されているような状況です。

 プロジェクトメンバーに加えて、テーマごとにオンラインメンバーを公募する予定です。部門の枠を超えて、意見やアイデアを出しに参画してもらう。会社側の動きも分かってもらえますし、対話を重ねることで、熱量を高めることにもつながるはずです。とくに制限を設けず、幅広く生の声を聞いて、みんなの活動、みんなのプロジェクトにしていきたい。

 地域との関わりを深めること、一部で開始している子供たちを応援する「ゆめ育プロジェクト」にも本格的に取り組んでいきます。小売りで出来る活動は限られます。取引先や地域とのパートナーシップも重要ですが、まずは自分事として動いていくことが重要です。

西田哲也サステナビリティ推進部長

(繊研新聞本紙21年4月23日付)

ファッションとサステイナビリティー トップへ戻る

関連キーワードサステイナブル



この記事に関連する記事