【ファッションとサステイナビリティー】イオン環境財団事務局長 山本百合子氏 商品から消費者つなぐ植樹

2021/05/17 05:59 更新


 イオンがキャサリン・ハムネットと協業した「セービング・ザ・プラネット」プロジェクトが2年目を迎えた。オリジナルTシャツの購入が植樹につながるもので、30年前から内外で植樹活動を行ってきた先駆けといえる存在だが、最大の小売りグループとして、商品開発からつながる新たな取り組みに踏み出した形。継続しながら浸透を目指す。プロジェクトを担うイオン環境財団の山本百合子事務局長に聞いた。

 イオンリテールの商品部門からお話をいただいて協力することにしました。「エシカル×ファッション」を活動理念とするキャサリン・ハムネットとは親和性が高いですし、身近なところから自然と環境を考えるきっかけになります。そこで20年5月にこのプロジェクトをスタートすることになりました。

 私たちの植樹活動はイオンや行政だけでなく消費者の方にも参加してもらっています。しかし、コロナ下にあって思うような植樹活動ができなくなっていました。そこで商品を購入すること通じて、間接的ですが参加してもらえるプロジェクトは良かったと思います。実際の植樹活動には参加できない人にもきっかけになったでしょう。

 スローガンの「SAVING THE PLANET」を大きく描いたTシャツを1枚購入すると100円が寄付される形ですが、今年1月までの累計で286万円が集まりました。6000本分の苗木代に利用しています。これは国内で行う標準的な植樹の3カ所分にあたります。

 直接、消費者に接するのが私たちの活動の特徴ですが、今回は商品開発から売り場、植樹と横串が通った初めての取り組みとなりました。ここで成功すれば大きな展開になりますし、サプライチェーン全体に広がる可能性もあります。トータルでベストプラクティスになるように続け、大切にしたいと考えています。

 2年目を迎え、アピールを強めます。昨年は6月の環境デーにちなんで幕張周辺のグループ店舗の従業員2000人にTシャツを配り、着てもらいました。ずいぶん声を掛けられましたが、今年は3000枚にします。6月5日にはイオンモール幕張新都心がお客さんからの参加者も募って幕張海岸の清掃を行いますが、そこでも着られる予定です。

 私たちの活動はSDGs(持続可能な開発目標)で言えば「13」の気候変動対策や「15」の陸の豊かさの保全となりますが、イオンはこのSDGsが言われるようになるずっと前から専門の財団を設けて取り組んできました。植樹活動は昨年30年を迎え、11カ国に広がり、取り組みの幅も広がっています。パイオニアの役割を果たしてきたと自負しています。

 これからも、消費者が自然と参加するような環境の再生活動を続けていきます。

山本事務局長

(繊研新聞本紙21年5月17日付)

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