小規模のアパレルブランドが直営店を持つケースが増えています。インターネットで国内外に発信・販売できる時代に、店舗という場所を持つことで、何を得ようとしているのでしょうか。古着や使われなかった生地を再構築する「LOWRUNDER」(ローランダー)は約15年、国内外への卸売りを軸に活動しています。今年3月、東京都渋谷区神宮前に直営店「ニアハラジュク」を開設しました。
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ここで見てほしい
アパレル企業でデザイナーとして働いていた櫟(いちい)さん夫妻が始めました。初期は百貨店で催事販売を行っていましたが、徐々に卸売りが増え、卸売り主体に移行しました。その上で、デザイナーで店主の櫟菜奈さんは、店を構えた理由を「第一に、〝物作りをして人に喜んでもらう〟ことを、見える形で共有したかった」と話します。「日々使う道具、手に触れるものが作られていることを街の中では実感しにくい。でも、日本の未来を考えた時、物作りを手放してはいけないと思いました。古着や使われない素材を循環させて、美しくよみがえらせる過程を店で体験してほしい」と続けます。

「誰が着ているのかを直接知りたい」思いも強かったそう。10年近く事務所のある神宮前にこだわり、物件探しに約2年を費やしました。ニアハラジュクはアトリエ機能も兼ねた空間で、商品製作も行い、近くの作業場で仕上げた商品も運ばれてきます。「海外で作られたものではなく、この場所やこの近くで商品を作っていることに価値を感じてもらえたら」と櫟さん。

手仕事の価値を
商品は、コンセプトや自分たちのデザインを押し出すのではなく、元の古着をどう生かすかを重視します。「その古着から何が生まれるか」を考えることに面白さを見いだし、「古い服を使って、誰も見たことがないものを作りたい」そうです。働きに出られない事情のある方々が所属する工房に、パッチワークを依頼したアイテムも展開しています。少し不均一であったり、手仕事らしさが分かりやすく出ていたり、均一に生産する通常の工場とは異なる価値を感じているそう。

店を始めると、想像以上に「リメイクを評価してくださる海外のお客様の反響が大きい」ことに驚きがありました。香港からオープン情報を知って来店した方もいました。米国人の反応が特に良く、「他にない」と試着せずにまとめ買いしていくケースもあるそう。日本人客は以前から卸先で商品を見ていた方やSNSを見て来店した人が中心。大学生から40代まで男女問わず幅広い層が訪れます。
今後はリサイクル糸やリサイクル素材を使った量産にも挑戦し、商品の幅を広げたい考えがあります。ローランダーの店は、販売だけではなく、服と場所が一体となって自分たちの価値観を届けるためのメディアにもなっていると感じます。

■ベイビーアイラブユー代表取締役・小澤恵(おざわ・めぐみ)
デザイナーブランドを国内外で展開するアパレル企業に入社、新規事業開発の現場と経営に携わる。14年に独立しベイビーアイラブユーを設立。アパレルブランドを中心に、ブランディングと事業推進を軸とした支援を行い、デジタルやデザイン領域まで横断的に手がけている。
