欧州リネン、ラグジュアリー市場で存在感 作付け拡大し需給安定へ

2025/06/03 07:58 更新


 【パリ=松井孝予通信員】欧州のリネンが、ラグジュアリーおよびプレミアムファッションでの存在感を高めている。AI(人工知能)を活用してファッショントレンドを分析するタグワークが、ヨーロッパリネンとヘンプのための同盟(旧欧州麻連盟)の依頼で行った調査結果で明らかになった。

 ラグジュアリーブランドにおけるリネン使用比率は、22年以降ほぼ横ばいの5%を維持している。ただし、用途は大きく変化している。タグワークのヴァン・フッテ氏は、「量ではなく質」への転換が進んでいると分析する。「ゼニア」「プラダ」「アルマーニ」「ジル・サンダー」「ボッテガ・ヴェネタ」など、欧州メゾンでの採用が増えている。

 カジュアル中心だったメンズ分野では、リネンを用いたクリエイティブなデザインが広がり、ウィメンズではTシャツなどアイコニックなアイテムへの展開も進む。

 デザイナーはリネンを創作の中核と捉え、テーラーリングやフィニッシングにこだわった高級感のある提案を展開。素材に対するイメージがより洗練されたものとなり、市場に好循環を生み出している。

 一方、別の調査では、プレミアムブランドでのリネン比率が10%に達し、ミドルレンジやマスマーケットへの浸透も進んでいるとした。

 同盟にとって、今回の調査結果はトレンドにとどまらない戦略的意義を持つ。リネンの作付面積は24年に18万5000ヘクタールと過去最大を記録し、10年間で128%増加した。25年も同程度が見込まれ、逼迫(ひっぱく)していた需給も安定に向かっている。



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