欧州繊維業界 ウルトラ・ファストファッション規制へ、EUに要請

2025/09/18 17:30 更新NEW!


 【パリ=松井孝予通信員】欧州の繊維・衣料業界が、中国発ウルトラ・ファストファッションの急拡大を踏まえ、EU(欧州連合)に規制強化を訴えた。国際素材見本市プルミエール・ヴィジョンに合わせ、欧州の主要20団体以上が共同声明を発表した。

【関連記事】EU 「テム」を正式調査 デジタルサービス法違反の疑い

 同声明では、短命な商品の大量生産による繊維廃棄物の急増、厳格な環境・労働基準を守る中小企業への圧力、都市中心部の小売衰退、不公正競争の横行を指摘。対策として6月に採択された欧州関税法改正の早期施行、デジタルサービス法やデジタル市場法による監視強化、小包課税と150ユーロ以下の関税免除廃止、VAT(付加価値税)の厳格な適用などを求めた。

 現地の報道によると、24年には1日平均1200万件、計45億件の小包がEUに流入し、その96%が中国からだった。25年に入り、さらに2割増加した。

 市場への浸透も鮮明だ。フランスモード研究所(IFM)とEC連盟Fevadの調査では、「シーイン」と「テム」が1~7月の衣料販売量の5%を占め、ネット販売に限れば16%に達した。平均単価は9ユーロと、中価格帯の約3分の1の水準で、「消費者が価格感覚を失っている」と専門家は指摘する。

 欧州のファッション産業は「ウルトラ・ファストファッションを常態化させてはならない」と強調。環境と労働面で高い基準を順守する企業が不利にならぬよう、欧州委員会と加盟国に即時の対応を迫っている。

関連キーワードピックアップニュース



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事