EU 「テム」を正式調査 デジタルサービス法違反の疑い

2025/08/01 06:25 更新NEW!


 【パリ=松井孝予通信員】欧州委員会は、ECサイト「テム」に対し、違法商品の流通抑止やサービス設計の問題をめぐり、デジタルサービス法(DSA)に基づく正式調査を開始したと発表した。調査はすでに24年10月に始まっており、発表では「ユーザーに対し高いリスクが存在する」との判断を示した。

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 特に問題視されているのが、ベビー用玩具や小型電子機器などで安全基準を満たさない商品の出品リスクや、再出品を防ぐ仕組みの不備。アプリの設計についても、フラッシュセールやゲーム性を利用した割引システムが「依存的な構造」となっているとの指摘がある。

 テムは23年にEU(欧州連合)に進出。月間アクティブユーザー数は加盟27カ国で約9400万人に達する。低価格と送料無料を前面に打ち出し、アマゾンやシーインに匹敵する存在となっている。

 違反が確定した場合は、年商の最大6%の制裁金が科される可能性がある。テム側は「規制に沿った対応を継続しており、当局に協力する」との声明を出しているが、欧州委員会は「DSAが定める基準に遠く及ばない」との認識を示している。

 なお、欧州ではアリエクスプレスや主要SNS各社に対しても、DSAに基づく調査が進んでいる。



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