売れてる理由★エポカ・ウォモに一目ぼれ

2016/12/12 06:34 更新


1枚で主役、40代から支持


 衣料品の不振が目立つ百貨店でも、脱・前年踏襲型のMDを徹底することで堅調な売り上げが続くメンズブランドがある。三陽商会の「エポカ・ウォモ」は40代を主対象に、残暑を予測した実需型MDの強化と「顧客に一目ぼれ」される新鮮な商品でヒットにつなげ、10月の売上高が前年同月比11%増となった。12年から伸長を続けており、10月も一昨年の15%増、昨年の20%増という高いハードルを越えた。今後、防寒物の最盛期にも他ブランドとは逆張りでダウンウェアを仕掛ける。

 昨年は暖冬で11月は前年割れしたが、今年4月は14%増、5月16%増


、6月21%増、7~8月6%増と、春夏商戦は堅調だった。9月はアウターが厳しく全体は3%減が、洋品など実需型商品を充実してパンツ10%増、シャツ5%増、カットソー15%増だった。10月もパンツ22%増、シャツ20%増、カットソー39%増、ニット24%増と狙い通り軽衣料が押し上げた。MD全体の約15%を後ろ倒しにしたことが大きい。

やり過ぎないデザインだが一枚で主役になれるロングカーディガン

 


パッと見の色気

 ヒットしたのは、ニットを中心にした新しい提案。10月に投入した前身頃にモヘヤ糸をランダムに並べてニードルパンチしたセーター(2万8000円)は週100枚超ペースで売れている。「やり過ぎないデザインだがパッと見の色気があり、1枚で主役になれる商品が百貨店に来る主力顧客の40代男性に支持された」(柴田直幸エポカ・ウォモ企画グループ企画統括長)とみる。ケーブル編みのロングカーディガン(4万4000円)やニットブルゾンも動きがいい。

 ニットで成果が出た背景には「企画担当者が新潟をはじめ、岡山、京都など国内産地へ足を運び、物作りの現場でアーカイブの資料やサンプルを参考に商品開発するなどの地道な作業の積み重ねがある」(柴田企画統括長)と強調する。これまで前年踏襲型で定番品に奥行きを付け、ゆっくり売り減らしてきたが、そうした手法を見直し、今秋冬は新鮮で消化スピードが速い商品を投入することで全体の消化率を高める。

 上顧客向けに限定販売する「プリマコレクション」でも新しい提案が好評だった。これまではムートンなど高額レザーアウターが売れ筋だったが、今回はシープファーとニットを切り替え、色気を感じさせるブルゾン(13万円)が97着受注し1位となった。9月に受注会で全店を巡り、昨年の2倍近い2900万円を売り上げた。


ダウン仕掛ける

 11月はウールコートが堅調だ。昨年まで人気だったチェスターからスタンドカラーに切り替え、早い出足に結びついた。防寒物が本格化するのは第3週からと見て、昨年暖冬で全般的には不振だったダウンを逆に好機ととらえ、全面的に訴求する。ダウンでも従来の合繊系でなく、ニットが表地のショート丈(6万9000円)やファー付きロング丈のカジュアルタイプ(8万6000円)などウールタイプを仕掛ける。他が防寒アウターに慎重ななか、同ブランドの攻めの姿勢が注目される。

(繊研 2016/11/09 日付 19587 号 1 面)



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