バロックジャパンリミテッドはレディスブランド「エンフォルド」「ナゴンスタンス」で21年春夏、キャッチーな色柄をポイントにする。デコラティブなデザインや立体的でボリューム感のあるシルエットも目立つ。
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エンフォルドは柄物を多く作った。着想源はパリの美術館や博物館、マルシェ、教会のステンドグラスだ。20~21年秋冬パリ・コレクション期間中にインスタレーションを開催した際、クリエイティブディレクターの植田みずきが現地で触れたアートやカルチャー、街の風景を柄やデザインに反映した。
例えば、ゾウや鹿、キリン、魚などを描いたにぎやかな柄もその一つ。この柄の生地でシャツやドレスを作った。中世ヨーロッパの絵画に登場する服にもインスパイアされ、分量感たっぷりのギャザーやフリルをジャージー、布帛の服に取り込んだ。
展示会ではアシンメトリーのカーディガンやティアードドレス、ジャンプスーツが好評だった。日常的に着やすく、どこかにひねりを利かせた服が支持された。
リゾートやアウトドアなどオフのシーンを意識したナゴンスタンスは、アクセントにしたオレンジやライムなどのビタミンカラーで元気いっぱい。ダイナミックな花柄、パエリヤのモチーフがユニークだ。展示会ではセーラーカラーのようなフード付きのジャケット(6万3800円)が人気だった。大きめのボタンや、後ろ身頃にキャップをぶら下げられる遊び心ある一着だ。毎シーズン出している撥水(はっすい)や吸水速乾などの機能性素材も差し込んだ。なかでも〝シャカシャカ素材〟のパンツが好感触だった。
コロナ禍で新プロジェクト
ナゴンスタンスでは今年の春夏、サステイナブル(持続可能)な取り組みの一環として新たなプロジェクトを行った。コロナの影響による店舗の臨時休業で販売機会を逃してしまった春夏物を、デザイナーチームのスタッフが一点一点手染めし、リデザインした。トップとボトム合わせて約100着を、店頭では7月から、ECでは8月から販売し、すべて完売した。タグも服と同じ染料でペイントし「一点物のスペシャル感」が消費者に受けた。この商品を目掛けて来店する客がいたり、問い合わせもあったりして好評だった。
コロナ禍ではブランドの軸の一つである水着が「予想を上回る反響」だった。夏のリゾートで必要だから買うのではなく「ナゴンスタンスの水着が欲しい」というニーズが高く、新規客も獲得できたという。水着と合わせてサンダルやキャップも売れた。水着は21年春夏向けでは、半袖のラッシュガードとオールインワンタイプを新しく作った。