以前から熱心なリピーター人気に衰えを知らなかったクルーズ旅に世界的な潮流が起き、ここ数年はその状況が加速している。船旅は、大きな荷物を持たず船を降り、観光やショッピングに向かうなど身軽な安心感に加え、クルーズ料金や日程の長さから、年配客が大半を占めていた印象がある。しかし、昨今は様々な料金体系を提案するクルーズも増え、オールインクルーシブや豪華な食事、翌朝目覚めると違う町の情緒を味わえるなど、至れり尽くせりの旅が浸透。料金の幅も広がり、次世代の旅人にも人気を広げている。
次世代の旅に市場拡大
中でも最新の注目は世界的なハイクオリティーのホテルブランドが、次々と海を舞台に「洋上のラグジュアリーホテル」として豪華船を運行させていること。主にヨット型客船であるこれらの船は大型客船とは異なり客室数も限定的だ。
先駆けは22年、ザ・リッツ・カールトン・ヨットコレクションで、高級ホテルブランド「ザ・リッツ・カールトン」が手掛けるラグジュアリークルーズが当時、衝撃的な話題となった。
さらに、女性人気が不動の「フォーシーズンズ」も26年3月に、全室ガラス張りスイート95室を伴いヨット第1号「フォーシーズンズI」を就航させた。また、独創的なリゾート造りで知られる「アマン」は、最高級モーターヨット「アマンガティ」を27年5月に就航予定だ。
未来型クルーズ客船
一方、高品質サービスが「動く高級旅館」のようだと、17年10月以来、瀬戸内での航行が話題の小型ブティック客船「ガンツウ」。客室は50平方メートルの全室スイート仕様、テラス付き、露天風呂付きのデザインが斬新であり、メイド・イン・ジャパンならではの細やかなサービスと極上の食事、日本の文化や伝統を体感するぜいたくなしつらえ、美しいデザインなど和製クルーズが反響を呼んでいる。
27年内に処女航海予定というヨットクルーズの誕生も楽しみだ。日本初となる〝ヨットスタイル〟の小型クルーズ船「SEFU」(名の由来は瀬戸〈SE〉の風〈FU〉)だ。全長約110~120メートル、全幅約19メートル。両備グループのRヨット(東京、新居正弘代表取締役)が就航を目指し、ヨットは最終段階の仕上げに入ったという。客室60、定員120人。船尾には「マリーナ」(プラットフォーム)を完備する。小型船だからこその寄港地が厳選され、瀬戸内や南西諸島、日本各地の沿岸を巡る船旅を展開する予定という。スモールラグジュアリーホテルに日本の伝統を融合した近未来型ヨットスタイルでの斬新な旅へ、ヨットの登場が待ち遠しい。
(ホテルジャーナリスト・せきねきょうこ)