前回は、購入型クラウドファンディングを成功させるために、目標金額の約3分の2を既存のネットワークの中で確実に集めるアプローチについてご紹介しました。今回は残りの3分の1をいかにして集めるか、さらに目標金額を超えて大きな金額を集めたり、より多くの支援・購入を募りテストマーケティングとしての成果を最大化させるためのポイントについて触れていきます。
クラウドファンディングにおいて、数多くの方からの支援・購入を募るためには、既存のネットワーク以外の一般消費者に広く情報を発信し、プロジェクトの内容についての認知と理解、そして共感を得る必要があります。
そのために、まず最も重要なのはプロジェクトの内容をしっかりとPRする、すなわち広報活動を徹底することです。プロジェクトに取り組むことになった背景やストーリー、取り組み自体の社会的意義や新規性や独自性、製品やサービスの特徴や具体的な仕様・スペックなどを対外的にわかりやすくまとめ、発信していくことが重要になります。
具体的には、プレスリリースを作成し、PR TIMESやバリュープレスといったプレスリリース配信ツールを活用して各種連携先メディアに配信をしたり、プロジェクト内容と親和性の高いメディアをリストアップしておき、それらのメディアに対して個別でプレスリリースの投げ込みや事前の情報開示を行うなどのアプローチを徹底することで、メディアから取材していただく機会を創出します。
あくまでも広報であるため、最終的に取り上げてもらえるかどうかはメディア側の判断になりますが、もし親和性の高いメディアに取り上げられた場合には、非常に多くの方の目に触れるチャンスを得ることになるので、飛躍的に支援・購入してくれる方を増やし、目標を大きく上回る金額を集めることも可能です。
失敗するプロジェクトの大半はこのような広報活動を徹底できていない一方で、目標金額を大きく上回る達成率を実現しているプロジェクトは戦略的に広報活動を準備・実行しており、多くのメディアに取り上げられている傾向があります。
中小企業やベンチャー企業の場合は、大手企業と異なり広報活動を専門で行う部署や人材などは存在しないケースが多く、どうしても十分な活動を担保しにくいというのが実情ですが、潤沢な資金を持たず、広告などに大きな予算を割くことができない中小企業やベンチャー企業だからこそ、広報活動が最も重要であり、注力すべきポイントであるとも言えます。
広報以外の観点では、プロジェクト内容と親和性が高いクラウドファンディングサイトを選定して掲載することや、クラウドファンディングと相性の良い広告の有効活用などがポイントとして挙げられます。次回はこれらの詳細についてご紹介していきます。
(北嶋貴朗・Relic代表取締役CEO)
