入門・クラウドファンディング⑩ どのサイトを選ぶか

2018/01/06 17:00 更新


 前回はテストマーケティングとしての成果を最大化させるための広報活動のポイントについて触れましたが、今回はクラウドファンディングサイトを選定する観点や、クラウドファンディングと相性の良い広告についてご紹介します。

 プロジェクトを掲載するクラウドファンディングサイトを選定する際に最も重要なのは、プロジェクトとの親和性です。各サイトごとに掲載されているプロジェクトには特徴や傾向があり、抱えている会員や顧客層にも違いがあります。

 例えば、日本で最初の購入型クラウドファンディングサイトである「READY FOR」は、社会課題解決やボランティア・チャリティー系のプロジェクトが多く、最もプロジェクト掲載数が多い「CAMPFIRE」はアート系/エンタメ系のプロジェクトや、個人の活動を応援するプロジェクトが多い傾向があります。

 また、「MAKUAKE」や「GREEN FUNDING」などのサイトはハードウェア製品やガジェット関連のプロジェクトに強く、「未来ショッピング」や「ENjiNE」などのサイトは富裕層やビジネスパーソン向けの商品/サービス、新規事業やスタートアップ、地方創生関連のプロジェクトの実績が豊富です。このように各サイトとプロジェクト内容との親和性を確認することが一つのポイントになります。

 また、プロジェクトの成功時にサイトに支払う手数料の金額も各サイトで異なります。一般的に国内のサイトは15~20%程度の手数料が発生するケースが多いですが、中には8~10%程度の手数料で運営しているサイトもあります。

 ただし、手数料に関しては安ければ良いというものではなく、手数料が安い半面、実施のサポートや広報活動の支援、集客面での後押しといったサービス内容が乏しくなるケースが多いため、自社のプロジェクト内容や実施体制、サポートの必要性の有無などを踏まえて総合的に判断する必要があります。

 上記のようなポイントを押さえて適切なサイトを選定した上で、クラウドファンディングと相性の良い広告を活用していくことで、さらに多くの方にリーチすることが可能になります。

 クラウドファンディングの性質上、顧客のニーズが顕在化しているケースが少ないため、検索連動型広告のようなアプローチではなく、想定する顧客の属性や嗜好(しこう)性といったセグメントを絞ったターゲティング広告が有効なケースが多くなります。そのため、ケース・バイ・ケースではありますが、プロジェクトの告知に関してはフェイスブック広告などの活用が主流となりつつあり、必要に応じて実施を検討してみても良いかもしれません。

 次回は本連載の最終回となりますので、これまでの内容を振り返りつつ、今後のクラウドファンディングの活用や展望についての考察をまとめたいと思います。

(北嶋貴朗・Relic代表取締役CEO)

きたじま・たかあき 大企業から中小・ベンチャー企業まで延べ100社以上の新規事業開発やオープンイノベーション、マーケティング/営業を支援。自社で運営する複数のクラウドファンディングサイトや、マーケティングオートメーション/CRM/SFAサービスも展開



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