アイドル衣装の魅力とは 衣装デザイナー茅野しのぶさん、=LOVE大谷映美里さんに聞く

2026/09/09 15:00 更新NEW!


 アイドルの魅力を引き出し、グループの世界を表現する衣装デザイナーという職業への関心が高まっている。SNSでは細部に込められた意味や工夫が話題になるなど、衣装そのものが一つのコンテンツとして注目されるようになった。「AKB48」グループをはじめ「=LOVE」(イコールラブ)など数々のアイドル衣装を手掛けている茅野しのぶさんと、茅野さんが手掛ける衣装をまとうイコールラブの大谷映美里さんに話を聞いた。

(相神優波)

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内面知ることから

 茅野さんが衣装をデザインする上で大切にしているのは、楽曲や公演のテーマだけでなく、身に着けるメンバーの内面を知ることだ。「相手を知らないままではデザイン画を描けない」。性格やキャラクター、本人にしか分からない体形に関する悩みなどを把握した上でデザインを進める。

オサレカンパニーが手掛けた衣装

 今では「ウェーブ」「ストレート」「ナチュラル」と一般に知られる、骨格に合わせた服選びの考え方を早くから衣装に取り入れてきた。重視するのは「着た時の全身のバランス」だ。グループとしての統一感を保ちながら、同じ衣装でも一人ひとりの体形や身長、顔の大きさ、肩幅などに応じて、襟の広さや袖、スカートの形を調整する。

 現在担当するイコールラブの衣装製作は、3、4人の少人数チームで担う。フィッティングでは、本人の体調や様子を見て「後でやろうか」と声を掛けることも。「大切なのはステージや撮影を円滑に進めること。衣装を優先してはいけない」と、メンバーとの信頼関係を何より大切にしている。

 衣装はグループの個性も映し出す。イコールラブの場合は、ブルーグレーやワインレッドとボルドーの中間のようなニュアンスカラーを多用する。リボンやきらめく装飾、柔らかな素材も特徴だ。「元気で快活な子だけでなく、自分の気持ちを言葉にすることが苦手な子もいる。その繊細さもグループの魅力」として表現したいからだ。

オサレカンパニーで取締役兼クリエイティブディレクターを務める茅野さん

学生の関心高まる

 茅野さんがAKB48などの衣装を手掛け始めた当時は、衣装作りを体系的に教える場所や機会がほとんどなかったという。自身も現場で経験を積み、試行錯誤しながら技術や考え方を身に付けてきた。

 最近は専門学校などで講義する機会もあり、「ファッションデザイナー」ではなく、「アイドルの衣装デザイナーになりたい」と志望する学生が増えていると感じる。

 繊研新聞社が27年卒業予定のファッション専門学校生を対象に実施した「注目の企業ランキング」では、オサレカンパニーが急浮上し、トップ10に入るなど、関心の高まりがうかがえる。

 来春、代々木アニメーション学院に新設される「衣装デザイン科」では初めて常任クラスを受け持つことになった。「若い頃にチャンスをもらった衣装業界に恩返ししたい」という茅野さんは、個人の経験に頼る部分が大きかった知識や技術を次世代に伝え、業界を支える専門人材の育成にも取り組む考えだ。

衣装は自信をくれる魔法

イコールラブ・大谷映美里さん

 茅野さんが手掛ける衣装をまとい、日々ステージに立つ「=LOVE」(イコールラブ)の大谷映美里さん。自身もアパレルブランドをプロデュースするほどのファッション好きで、「アイドル衣装を着るためにアイドルになった」と話すほど、衣装への思いも強い。

新曲「恋、はじめました。」の衣装を着用する大谷さん

 (茅野)しのぶさんが作る衣装は、可愛さと動きやすさのバランスが完璧です。客席からは見えない細かな刺繍や、激しく動いてもスカートがずれないようにするスナップボタンなど、見えない部分にも様々な工夫が詰まっています。

 幼い頃に好きだったアニメ「きらりん☆レボリューション」の影響で、アイドルの衣装が着たくてアイドルになりました。「AKB48」の衣装も見ていたので、しのぶさんのことも以前から知っていました。

 夢がかない、衣装を着る度にアイドルになって良かったと思います。衣装は自信をくれる魔法です。着るとスイッチが入り、普段ならできないような可愛い表現も、ステージでは堂々とできるようになります。

 今ではファンの方から「憧れ」と言っていただくこともあります。今度は私たちの衣装を見て、アイドルになりたいと思う人がいたらうれしいです。

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