中米貿易摩擦 追加関税に衣類、履物など

2019/05/15 06:29 更新


 【上海支局】米通商代表部(USTR)が新たに発表した約3000億ドル相当の追加関税のリストには61類、62類の衣類に加え63類の繊維製品、64類履物、65類帽子、66類傘などが含まれている。今回の追加措置の発表を受け外国部の報道官は「関税の追加は何の問題解決にもならない。中国側は、これまでいかなる外部の圧力にも屈したことはない」とコメント、さらに「両国が互いに尊重し、ウィンウィンの合意ができることを期待している」と述べた。

 中国で事業を行っている日系企業の多くは米国向け輸出が極めて少ない。そのため今回の制裁措置による「直接的な影響はほとんどない」(東レ中国)というのがメーカー、商社の共通した見方だ。ただ、日本向けが減少傾向にあるため、各社とも中国内販を強化している。昨年来、株価の低迷などにより中国の消費者心理が冷え込んでいるとされる。中米の貿易戦争が長引けば、「景気減速がさらに顕著になり消費が落ち込むことの方が懸念材料」とする企業が多い。「中国政府の景気刺激策を注視していきたい」という声も目立った。

 中国の18年衣類輸出額(61類、62類の合計、以下同じ)は9553億1396万元で、このうち米国は2123億2350万元、衣類輸出総額の21.1%を占めEU(欧州連合)に次ぐ規模となっている。19年1~3月の衣類輸出総額は1850億4557万元で、米国向けは413億6766万元、22.3%を占める。

 昨年秋に米国が実施した第3弾の制裁措置では、50類絹及び絹織物、51類羊毛、繊獣毛、粗獣毛及び馬毛の糸並びにこれらの織物、52類綿及び綿織物、53類その他の植物性紡織用繊維及びその織物並びに紙糸及びその織物、54類人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物ほか、55類人造繊維の短繊維及びその織物のほか、56類、57類、58類、59類、60類の各繊維原料が対象となっている。この影響は19年1~3月期に顕在化した。

 一方、米国は衣料品の40%、履物の70%が中国製と言われる。今回の措置がいつ実施されるかによるが、クリスマス商品の出荷時期と重なれば中国の輸出企業だけでなく米国市場への影響も大きい。

昨年秋の制裁措置の影響が19年1~3月期に顕在化


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