東洋エンタープライズ(東京)の、ビンテージミリタリーウェアの復刻が主力のブランド「バズリクソンズ」が好調だ。本物同様の仕様を再現したこだわりの商品が長年評価されてきたが、近年のアメカジブームや本物志向の消費傾向で、若い新規客の取り込みも進んでいる。
同ブランドは今年30周年。40~70年代のミリタリーウェアを、実物のビンテージをもとに忠実に再現したアイテムで多くのファンを抱えている。
「ミリタリーウェアは常に当時の最先端素材を取り入れてきた歴史がある究極の服。命をかけた状況で着る物なので、丈夫で長く付き合える」とディレクターの亀屋康弘氏。
同ブランドの商品も長く着込むことによって、経年変化で自分だけの〝味〟を楽しめるのが魅力になっている。
企画は現物の生地をもとに、オリジナルで再現するところから始まる。縫製もステッチの幅などまでこだわり、副資材すら本物と同じ物を調達する。例えば、人気のレザー製フライトジャケット「A-2」では、当時の納入業者ごとの微妙な差異まで表現している。
販路は全国のアメカジショップへの卸が主で、価格はレザージャケットで中心価格20万円前後。顧客は30代以上が多いが、近年はアメカジ人気も追い風になり、若い客も増えている。商品によっては約10%までの値上げをした物もあったが、売れ行きの鈍化はないという。
とはいえ、増産や企画の刷新は考えない。「特殊な商品なのでそもそも増産は難しい。これまで通り、いい商品を作り続けるだけ」と亀屋氏。「ぶれない物作りによる商品が主役のブランドだ」と強調する。
その姿勢は販促にも表れている。毎シーズン出しているカタログは、モデルの写真はほぼなく、商品の写真とその歴史やディテール、機能の解説がほとんど。「商品の背景やストーリーを含めて魅力を知ってほしい」という思いから、亀屋氏自ら編集とライティングを担当しており、まるでミリタリーウェアのムック本のような仕上がりだ。
そうした中で新鮮さを出すことも重視している。30周年の今年は、人気のA-2で、兵士たちに好まれたピンナップガールを裏地にプリントしたモデルや、米の博物館にあるレアな納入業者の現物を借りて再現したモデルなどを販売。ほとんどが予約で完売するほどの人気商品になった。
今後について亀屋氏は「バズリクソンズにとって大切なのは、信頼できる工場、商品の魅力を伝えてくれる小売店、評価してくれる顧客の3要素。変わらぬ物作りでこれを守り続けていきたい」と話した。