文化服装学院は10~12月、初のオンライン文化祭を開催している。毎年11月に校内で開き、2万人以上が訪れる文化祭は、新型コロナウイルス感染症対策と、4~5月の休校で遅れている授業時間確保のため中止。しかし「発表の場がなく我慢することが多い学生に広く学習の成果を発信する機会を作りたい」(相原幸子学院長)と訴求を強めている。
「文化オンラインフェス~文化祭2020」は、学生によるショーや作品の発表、バザー、卒業生の講演会など従来の文化祭の人気企画をもとに構成。授業で制作した作品は、オンラインフェスサイト内に特設ギャラリーサイトを設け、全ての科やコースから選ばれた代表者の課題の制作など300点以上を掲載中。コロナ禍で入学が遅れた新入生が、オンライン授業主体という条件の下、初めて作ったスカートなどの作品を本人や友人がモデルになり、紹介する動画も配信中だ。
中止となったショーの代わりに、ファッションディレクター専攻3年生が、無観客ショーの動画を企画・制作する。3月に卒業ショーでの発表の機会が失われた卒業修了制作作品などから約80体を選び、3場面に分けて披露する内容で、在校生がモデルを務めて撮影。12月初旬から配信する予定だ。
ファッション流通科リテールプランニングコースの2年生が企画・生産や買い付けを行った商品のセレクト店「リテント」も、場所をネットに移して出店。オンライン出店に向け、学生はECプラットフォームのベイスや、KDDIウェブコミュニケーションズから招いた講師の講義も受講。ネットビジネス、ベイスやインスタグラムの運用法、SNSでの販促、動画の撮影、ECサイトの構築などの授業を受け、約10人ずつに分かれて15店の販売サイトを10月から開設中だ。
各店で公式インスタグラムや店舗の紹介動画、ウェブサイトを作って販促し、オンライン接客も実施。従来のリアル店舗で3日間500万円の販売実績に対し、オンライン店舗は1週目200万円、2週目80万円を売り上げ、11月初めに400万円の予算を達成。売り上げ1位の「DAWG」など既に予算の40~50%増を販売した店舗も2店あり、完売品の追加投入も行いながら11月13日まで営業中だ。
そのほか、旬の卒業生による座談会を企画。「ターク」のデザイナーの森川拓野、スタイリストの二宮ちえ、ディレクターの保科路夫の3氏の座談会も配信予定だ。