《トレンド素材フォーカス》インディゴが彩る15年春夏
15年春夏のファッション市場は、インディゴカラーで彩られた。主役はもちろん、デニム。2、3年前から流行の兆しを見せていたが、70年代を反映した15年春夏のコレクショントレンド、自動車やインテリアなど「ライフスタイルトレンドにブルーが浮上した」(カイハラ)ことなどを背景に、大きな波となって押し寄せている。
きれいめ台頭
デニムといえば、オールシーズンで定番的な生地。今春夏は、年齢もテイストも際を超え、ヤングからミセス、モードからストリートまで幅広いブランドで存在感を増している。クラッシュデニムなど加工感の強いデニムが目立った前春夏に対し、デニムのカジュアルなイメージを覆す「60番手三子撚りのきれいで柔らかい素材」(ショーワ)、「シルク混デニム」(同興商事)ときれいめが台頭しているのも特徴だ。アイテムもジーンズに限らず、ジャケット、プルオーバー、シャツ、スカート、ワンピース、バッグとフルアイテム。デニムオンデニムスタイルも登場している。
〝デニム風〟も
国内デニムメーカー最大手のカイハラでは、15年春夏向けの受注量が前年同期比1割増となる見通し。ショーワは、国内向けが微減も、「軽くてきれいめのデニム」を中心に輸出が伸び、2割増。豊島でデニムを扱う東京三部三課では、ウエアから雑貨向けまで、デニムは「トレンドのブルーを表現する素材として外せなくなって」おり、15年春夏向けのインディゴ絡みの販売は1・5倍を見込む。
デニムの表情を異なる手法で再現した〝デニム風〟も増えている。瀧定大阪は、「きれいめのデニムライクな素材」が幅広いアイテムに向けて売れているという。山陽染工は、「インディゴのテイストを持ちながら、デニムでは作れないものが作りたいニーズ」が増え、主力のインディゴ染めの受注量が14年春夏比1・5倍に拡大した。素材も、綿だけでなく、麻、綿ウール、ストレッチ素材、プリント地へのオーバーダイと、バリエーションが広がっている。
70年代を象徴するデニム復活
15年春夏は、注目の70年代テイストに欠かせないデニムアイテムが勢揃いする。70年代は、自由と博愛精神を大切にするヒッピーカルチャーが一世を風靡(ふうび)した時代。そのムーブメントのなかでデニムのベルボトムが大流行し、若者文化を象徴するアイテムになった。今シーズンはデニムパンツを始め、シャツドレスやミニスカートなど70年代にはやったデニムアイテムが復活している。
アイテムは他にもマキシスカートやキュロット、オーバーオール、サロペットなど幅広い。「ステラ・マッカートニー」はベースボールシャツ、「ケンゾー」はジップアップコート、「グッチ」はカットワークを施したシャツドレスを出した。「クロエ」が発表したパッチポケット付きのミニスカートや、フロントボタンを飾ったマキシスカートも新鮮だ。
ポイントは、明るいインディゴブルー。クラッシュデニムやダメージデニムのようなハードな仕上げではなく、きれいにブリーチしたタイプが今シーズンらしい。長い時間をかけて色落ちしたようなサックスブルーも多い。
デニムそのものに加え、インディゴブルーに染めたダンガリーやシャンブレーも多く使われている。デニム色に染めたスエットやレザーブルゾンなどもある。「ルイ・ヴィトン」は、定番バッグのエピをインディゴブルーに染めて発表した。
(写真=大原広和)