《服を売ろう》新興メンズブランド「バイブリーコート」
中途半端な服屋よりも異業種の趣味の店に集う客層の方が購買意欲は高い――。英国カントリースポーツがコンセプトの新興メンズブランド「バイブリーコート」は卸し先の釣具店やバイクショップで売り上げを伸ばしている。
「男の趣味の店はマニアックな客層。市場規模で見れば大きくなく、ニッチ」(下間由一代表)。しかし、個々人の趣味への「投資、掘り下げ方は深く濃い。洋服の分野からすると新たな販路開拓にもつながる」ため、期待できるという。
バイブリーコートはスタートから15年以上、一貫してワックスドコットンのフィッシングジャケットや乗馬用ジャケットを作り続けている。
道具に凝るように
卸し先は地方のセレクトショップを中心に約25店。その中には個人オーナーがこだわり抜いた釣り具やバイク関連の専門店がある。客層に共通するのは「道具に凝るように服にも愛着を持つ人が多いこと」。
同ブランドのアイコンとなるワックスドコットンのアウター(5万~6万円台)は経年変化が楽しめ、着込むほどに味わいが出て、格好良くなるのが受けている。カントリージャケットやシャツは釣りの行き帰りの服装としても、レストランやホテルでの上品なスタイルとしても大人の男性から人気だ。
ただ、十数年前までは釣り関連の見本市に行っても、ワックスドコットンのジャケットを着るようなファッションを意識した人はほとんど見かけなかったという。趣味の世界には大手チェーン店があるため、かつては個人オーナーの専門店が参入するのも難しかった。
だが、最近では愛好者も進化・多様化し、服装までこだわる人が増えてきたため、新世代向けの趣味ショップも現れ始めた。昨年秋には福島県に洋服も扱うバスフィッシング店がオープンしたり、逆に服屋がフライフィッシングを取り入れたりしている。バイクの分野では数年前に開業した群馬県のカフェレーサーに特化したショップも希少な存在のため、全国からファンが集まる。
(繊研 2016/06/03 日付 19484 号 1 面)