繊研新聞社の「第27回テナントが選んだディベロッパー大賞」と「第27回ディベロッパーが選んだテナント大賞」の部門賞が決まった。それぞれのアンケート調査に基づき、24年度の優秀なSCとテナントを表彰する。部門賞から選出する大賞は3月12日に発表する。
ディベロッパー大賞
売り上げと集客力を評価する敢闘賞は、リアルが消費者を引き付けるなか有力施設が力を発揮した。インバウンドの押し上げも効いており、都心部で「ルミネエスト」が入り、「神戸三田プレミアム・アウトレット」「三井アウトレットパーク木更津」といったアウトレットも評価された。地方では、活況だった「アミュプラザくまもと」「エルムの街SC」も受賞した。
新人賞は開発数が減少する中で際立った3施設が選ばれた。首都圏の居住エリアでオープンした「エミテラス所沢」「ゆめが丘ソラトス」は街の魅力を高める役割を担う。「KITTE大阪」は大阪・梅田で各地の物産を発信するなどの特徴を打ち出した。
コンセプト賞は連続受賞の施設に加え、「トレッサ横浜」やこの間の新施設「麻布台ヒルズ」「東急プラザ原宿『ハラカド』」が受賞した。イノベート賞は建て替え、増床でニーズを捉えたところ、テナントの入れ替えで成果を出しているところが並んだ。
CS賞、ES賞、プロポーズ賞は前年と顔ぶれに一部変化があるが、定評があるところが揃った。
特別賞は3件。24年10月に亡くなった髙橋祥元さんは江釣子ショッピングセンター理事長として地方の地域密着型単館SCを成功させ、日本ショッピングセンター協会副会長などを務めた。3月16日に再開発に伴い閉館する「新宿ミロード」は、新宿駅で40年にわたりファッションを発信し続けた。「マーサ21」は1988年の開業以来、岐阜市で地域貢献活動を積み上げてきた。
テナント大賞
手頃な価格で広い客層が楽しめるファッションや雑貨を販売するテナントに票が集まる傾向は続いたが、価格訴求力だけでなくファッション性の高い商品を販売する企業やブランドを推す声も増えた。雑貨は眼鏡を売るテナントの評価が高かった。
ベストセラー賞は「グローバルワーク」「スリーコインズ」が連続受賞。既存店売上高の伸びが安定していた「ユニクロ」「ユナイテッドアローズ」も受賞したほか、眼鏡の「ジンズ」、子供服の「西松屋」、雑貨の「プラザ」が選ばれた。
敢闘賞はファミリー層に強い「アーバンリサーチ・ドアーズ」と、ジュエリーの「エテ」が連続受賞。MDの刷新が奏功した「コーエン」、眼鏡の「オンデーズ」「ゾフ」も票を集めたほか、「ハニーズ」「ビアズリー」も受賞した。
集客力やMD、VMDの新鮮さ、独自サービスなどが評価基準のキラリ賞はウェルネスブランドの「エミ」が受賞し、新人賞には子供服で「エフオーストア」、コンディショニングウェアの「テンシャル」、ファッションのほか食品も扱う「ビームスライフ」が受賞した。
社会貢献賞は「アクシーズファム」「オゥパラディ」「ザ・ノース・フェイス」が初受賞。デジタル活用賞には名称変更した「アンドエスティストア」のほか2テナントが選ばれた。
プロポーズ賞は「無印良品」のほか、靴の「オリエンタルトラフィック」「ラコレ」「コスメキッチン」などウェア以外の商品が主力のテナントへの出店の要望が多かった。