中小アパレル・服飾雑貨企業 合同展「アトラクション」で新規事業を披露

2024/05/31 11:30 更新


観光地のプリントを施したナンバープレート(シープグラス)

 本業のほか「本業から横に展開した」新たな事業を積極的に立ち上げて活路を見いだそうとする中小規模のアパレル・服飾雑貨の企業が増えてきた。名古屋で行われたブランド合同展「アトラクション」では、本業と異なる事業を立ち上げ、複数の事業による「ハイブリッド型企業」をアピールする動きが目立った。

(浅岡達夫)

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 シープグラス(愛知県岩倉市、伊達浩義代表)は98年に時計・雑貨の輸入卸として創業。国内外の個性的な時計の輸入販売、一般顧客向けのネット販売などを手掛けてきた。「ここにきて当社の主力とする高級時計以外の小売価格1万~3万円の時計が売れなくなった。次いで国内アンティーク時計の販売にも着手したが、品質やメンテナンスで扱いが難しいアンティーク時計をセレクトショップなどに提案するには課題が多かった」と伊達代表。

 そこで新規事業として立ち上げたのが外国人観光客向けの「お土産ナンバープレート」。自動車用ナンバープレートを輸入し、そこに観光地ならではのプリントを施したもの。小売価格2800円で、「試験的に間接的なルートを介して東京地区のドン・キホーテで販売したところ1万枚を売った」と手応えを感じた。

 アトラクションで初めてお土産ナンバープレートを紹介、本格的な販売に入った。「展示会では観光地に拠点を構える卸売・小売店も来場する。その観光地を訪問するインバウンド向けの新たな商材として別注も含めて対応した」(同)。

 畳製造の大江畳店(大阪府堺市)は「畳の縁(へり)を装飾するジャカード織物を使った」畳小物の企画・製造販売を始めた。「畳業は需要の激減によって非常に経営が厳しい。そこで畳需要の拡大を狙った販促品として畳小物を企画した」(2代目職人の大江俊幸代表)。「クラシカ」と名付けたブランドとして、ミニサイズの畳とアクセサリーのセットを中心に販売している。小売価格が1万円と5000円の2タイプ。「和モダンが受け、販促品を超える反響があった。そこで本格的な販売をしようとアトラクションに参加した」

和モダンをアピールする畳小物(大江畳店)

 インテリアファブリックのパンダ企画(兵庫)は、19年に「ルーム&スプール」を立ち上げた。クラウドファンディングで開発資金を募り、じっくりファンを広げてきた。ネット販売、百貨店への卸が主体。名古屋地区での販路開拓を目指し、アトラクションに初出展した。ウール100%、綿100%の毛布やひざ掛けは泉大津や高野口など国内で生産。播州産地の余った糸で作ったスリッパも販売している。

 革小物の企画・生産を主力とするフルグレイン(東京)は、新たに薄漉(す)きの国産牛革を使ったバッグや帽子のブランド「クシュ」などを披露した。革ならではの上品さと、軽く柔らかな持ちやすさがポイント。アトラクションには今回が2回目の出展。出展者も来場者も多すぎない空間で「比較的じっくり見てもらえる」点に期待を寄せた。



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