アルマーニ財団が遺言を公開 LVMHなど大手を候補に株式譲渡へ

2025/09/16 17:30 更新NEW!


 【パリ=松井孝予通信員】フランスの複数のメディアによると、9月4日に91歳で死去した伊デザイナー、ジョルジオ・アルマーニさんの遺言が公開され、同氏が率いたグループの方針が示された。独立を守り続けたブランドをアルマーニ財団に託し、財団を通じて大手ラグジュアリー企業に株式を譲渡する内容だ。

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 遺言によると、財団は今後18カ月以内にグループ株式15%を売却。その後3~5年以内に同じ買い手に30~54.9%を追加で譲渡し、過半数取得の道を開く。もし売却が成立しなければ、上場(IPO)も検討するとされる。投資ファンドなど金融資本は明確に排除された。

 候補先として名指しされたのは、仏LVMH、伊エシロールルックスオティカ、仏ロレアルの3社。LVMHのベルナール・アルノー会長兼CEO(最高経営責任者)は、「協業の可能性に名を挙げていただき光栄」と述べ、世界展開をさらに強化する意欲を示した。ロレアルは「長年の関係の延長として真剣に検討する」と表明。眼鏡事業で提携するエシロールルックスオティカも「慎重に判断する」とコメントした。

 イタリア国内では、独立を貫いた同氏が大手への売却に道を開いたことが、驚きをもって受け止められた。一方で「現在のファッション業界では巨額の資本とマネジメント力なしでは生き残れない」との現実も指摘されている。



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