【パリ=松井孝予通信員】フランスブランド「A.P.C.」(アーペーセー)がLキャタルトンに売却されることが明らかになった。Lキャタルトンはキャタルトン、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン、グループ・アルノーの3社によるプライベートエクイティ投資会社。これまで独「ビルケンシュトック」、仏「ジョット」などを買収している。A.P.C.の売却額は公表されていない。
A.P.C.は87年にデザイナーのジャン・トゥイトゥが妻のジュディスと創設した。仏で数少ない創業者経営のブランドとして存続してきたが、今後の発展を理由に22年11月に売却の意を伝えていた。仏メディアによると同ブランドは直営100店舗、従業員300人と小規模ながら、22年の売上高は推定で1億ユーロ(国外80%)。ウィメンズ、メンズ、レザーグッズとバランスの取れた収益で、コロナのパンデミック(世界的大流行)によりECは総売上高の3分の1に成長した。
売却後も創業夫婦はクリエイションと運営を指揮し、Lキャタルトンは新しいラグジュアリーブランドへとポジションを引き上げ、国外展開の再強化を柱とした戦略を進める。