メンズ主力のセレクトショップ「アマノジャク」は、1月に移転拡大した東京・北千住の本店で新規客の来店が増加し、2号店の千駄木店との回遊性も高まった。「コロナ下に商業施設からの出店依頼も多かったが、さらなる事業規模の拡大を目指すためにも、まず18年8月に開業した創業の地の店舗を磨き上げ、土台を固めることにした」(小山逸生COO=最高執行責任者)と強調する。
本店はJR北千住駅から徒歩7分ほどの路面立地。以前よりも近くなったほか物件も新しくなった。2層で約83平方メートルと売り場面積が1.5倍に拡大し、イベント可能なスペースを設置。移転前は手狭でスペースを確保できず、イベントができなかったが、新店では定期的に扱いブランドの期間限定店を開催するなどして、リアルの場の強みを生かす。3月後半には「ターク」のデザイナーを招いたイベントを開催、盛況だった。
また、新たなブランドを導入し、そのうちの「アクロニウム」は1カ月で完売した。もともと本店は「メゾン・マルジェラ」「マルニ」「リック・オウエンス」などを扱っており、玄人好みの濃い顧客が多かったため、客単価は約12万円と高い。これまで都心の富裕層を中心に遠方からの集客が大半を占めていたが、地元や近隣からの来店も目立つようになった。
一方、20年9月にオープンした千駄木店は、レディスやエントリーになるブランドも加えたことで客層の間口が広がり、来店客数や売り上げが伸びてきた。今回、本店を移転拡大したことで、今までなかった千駄木店からの送客も可能になった。
全社の売上高は、2月が前年同月比40%増の2500万円、24年2月期の売上高は大幅増の3億円弱を見込む。ECの売り上げ構成比は25~30%あるものの、「リアル店舗の存在は絶対的なもの」と言い切る。今後も現場の販売スタッフの魅力を前面に出しながら、ファン作りを続ける。