あらためてAIとは何か② ディープラーニングの可能性

2019/11/10 06:30 更新


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【知・トレンド】《入門講座》あらためてAIとは何か② ディープラーニングの可能性

 前回はAI(人工知能)、特にディープラーニングに注目が集まる背景について紹介しました。今回はディープラーニングの特徴と今後期待される可能性についてご説明します。

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 ディープラーニングが今までの手法と大きく異なるのは、自ら特徴を捉えられる点です。私たちは犬を見ると、それが柴犬でも、ブルドッグでも「犬」と認識できます。これは、人間にとっては簡単ですが、AIにとっては困難でした。

 考えてみてください。みなさんは犬を見た時に、なぜそれが犬だと認識できるか説明できますか?耳がとがっているから、尻尾があるから…どれも正解の一つです。ですが、みなさんは、耳が丸い犬や尻尾がない犬を見ても「犬」と認識できますよね。それは私たちが、犬の特徴を、厳密に定義されたルールによらず、感覚的に捉えているためです。

 ディープラーニング以前の手法で、AIに学習させるためには、ルールを全て人間が定義する必要がありました。しかし、そうなると問題が生じます。私たちが感覚的に捉える犬の特徴を、全て定義してAIに教えることは難しく、結果、AIは精度高く犬を認識できません。仮に、対象が犬だけなら何とかなるかもしれませんが、猫、牛、馬と見分ける対象が増えれば増えるほど、その見分け方を全て人間が考える必要があり、非常に労力がかかります。

 この問題を解決するのがディープラーニングです。ディープラーニングは、大量の高品質なデータを学ばせることで、AIが自ら特徴を学習できる学習手法です。今までは「尻尾があると犬」のように、人間が犬の特徴を教える必要がありましたが、ディープラーニングでは、犬の画像と「これは犬である」という情報をセットとして、AIに大量に学ばせるだけで、AIが自分で犬の特徴を抽出し、次回から犬を見ると「犬」と認識できるようになるのです。

犬の特徴をAIに学ばせる

 これまでAIの領域では「人間の子供ができることほど、AIにやらせることが難しい(モラベックのパラドクス)」と言われてきました。しかし、ディープラーニングの進化により、画像認識などの一部の領域については、この常識が変わってきています。画像や動画の「認識」から、物を持ち運ぶなどの「運動」、そして翻訳や文章生成などの「言語の意味理解」など、まさに人間の子供が育つようなプロセスで、AIに任せられる領域は広がり、さらにその進化のスピードが加速しています。

 今後の小売流通業界では、商品を詰め、店頭に運ぶ物流から、店頭での販売、品出しなど、消費者に商品を届けるまでのあらゆるプロセスで、AIが人間を支援し始める未来も夢ではありません。

 次回は現在、そして今後アパレル業界が直面する課題についてお話しします。

(伊藤久之アベジャ・インサイト・フォー・リテイル事業責任者/繊研新聞本紙19年7月1日付)


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