アダストリア・ゼネラルサポートが障害者就労を支援 仕事に新たな選択肢

2023/03/23 06:27 更新


アパレル店舗のバックルーム業務に特化する

 アダストリアの特例子会社、アダストリア・ゼネラルサポートは今春、アパレル店舗のバックルーム業務に特化した就労移行支援事業に参入する。4月1日に事業所第1号の「アグスキャリア福岡はかた」(福岡市)を開所する予定。設立から10年、グループ店舗で活躍する障害者スタッフをサポートしてきた経験を生かす。「すべての人が楽しめるファッション」を提案してきたアダストリアグループが、障害者の活躍の場を広げる。

 アグスキャリアは企業への就職を目指している障害者を対象に、アパレルに関わる仕事に必要な知識やスキルを身に着けるための就労支援を行う。運営はアダストリア・ゼネラルサポート。今後はサービスを全国の大都市に順次拡大する計画だ。

 同社は障害者雇用の促進とグループ企業の総合サポートを目的に13年に設立。現在は210人以上が所属する。設立当初からグループ企業の経理・人事業務サポート、傷がついた商品の仕分け業務を主にしていたが、15年からグループ店舗のバックルームで商品整理や品出し、選んだ服をマネキンに着せるなど店舗のサポート業務も手掛けるようになった。現在約100人が店舗に携わっている。店舗経験があり店の考えを熟知したスタッフが、業務の要点をわかりやすく伝えられるため、店舗サポート業務で仕事する障害者スタッフの定着率も安定してきている。この実績が強みになる。

 アダストリアによると日本における障害者数約964万7000人のうち、民間企業に勤める人は61万人ほどで過去最多を更新しているという。ただ、雇用機会は健常者と比べると少なく、選べる職種も限られている。23年度から民間企業での障害者の法定雇用率が現在の2.3%から段階的に引き上げられ、26年度までに2.7%にすることが義務付けられている。

 就労を希望する障害者が活躍できる環境を拡大していくためには、「企業が雇用率を達成するのと同時に、職種や業務内容の拡充、定着率を高めるインクルーシブ(包括的)な社風の醸成が求められている」という。アグスキャリアではアダストリアグループにとどまらず、様々なアパレル企業に就労してもらうことを考えている。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事