18年春夏のテキスタイルは、装飾性の本格回帰で、カラーやプリントへの関心が高まっている。軽さや着心地に気を配りながら、豊かな表情を作り込んだテキスタイルが広がりそうだ。10日に閉幕したテキスタイル商談会のプレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)から、18年春夏に向けて欠かせない要素を拾った。
軽やかさ_見て目にも心地にも
軽やかな仕上がりに工夫が凝らされている。質量だけでなく、見た目にも軽やかなのがポイントだ。レース専門商社の落合レースは、レイヤードスタイルを念頭に、「重ねても重さを感じさせないデザイン」のレースに力を入れた。ワッシャー加工でシボを刻んだオーガンディに、甘撚りのモヘア糸で刺繍をあしらったレースは、上に重ねると、もやもやと浮遊感を感じさせる視覚効果が生まれる。
コンバーターの北高は主力のプリントに加え、ポリエステルシフォンの花柄プリントや星柄のラメ刺繍、ポリエステル・アクリルのニットライクなエンブロイダリーレースなど、軽さを意識した生地を充実させた。
プリント_色、柄に広がり
18年春夏はプリントが躍進しそうだ。今春夏の最終盤からプリントの動きは活発化しており、久しぶりにトレンドとして浮上しそうだ。レッドやイエロー、ブルーなどのインパクトの強いカラーへの関心が高まっていることもあり、ジャカードやレース以上にプリントで個性を発揮しようというバイヤーが増えている。
花やストライプのバリエーションをベースに「幾何、具象柄など多彩」(宇仁繊維)、「パネル調の大柄も関心が高い」(デザインハウス風)という。手捺染やオートスクリーンに加えて、インクジェット使いのプリント表現も目立っている。
ナチュラル_天然、ビンテージ感に支持
ナチュラルな素材や質感が再び浮上している。昨シーズンは合繊が台頭し、天然繊維も合繊との複合が増えた。18年春夏では「麻の100%使いが求められる傾向が強い」(小原屋繊維)、「綿や麻によるソフトな風合いの二重、三重のガーゼ」(コッカ)、「細番使いの薄地ウール」(外村)などが注目されている。
綿を麻ライクに加工したものや「綿と合繊の複合で薄い起毛を施してビンテージ感を演出した生地」(東光商事)、「シルクの起毛によるビンテージ感」(同興商事)も目立つ。風合いや質感を変化させた、ソフトでナチュラル感のある素材が広がっている。
カラー_華やかな色に期待
今春夏の差し色の好調を受け、18年春夏に向けても色の打ち出しが活発だ。
例年はネイビーや白といったベーシックな色のサンプルが多いが、今回はモーブやイエロー、オレンジといった有彩色が積極的に取り入れられている。コンバーターのイチメンは、白生地でストックする綿ローンなどの定番にピンクやイエローといった華やかな色を付けて提案し、好評を得た。人気が継続する先染めストライプも、グリーンやイエローを追加した。
染色整理の山陽染工は、硫化染めと生地の中心を白く残す独自技術を組み合わせた「ダスティ加工」で、これまで濃色系がメインだったが、淡色系の優しい色を増やしている。