レディスの21~22年秋冬コレクションの発表が始まった。メンズ・レディスを一緒に見せるブランドや、プレフォールを見せないブランドが1月からスタートしている。デザインは引き続きベーシックが中心。シャツとミニスカート、マスキュリンなジャケットスタイルをブランドらしい色柄やシグネチャーディテールで変化をつけて提案する。前のシーズンの服と組み合わせてもスタイリングが楽しめる提案が広がっている。
(青木規子)
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「ヴェットモン」は、シグネチャーディテールを取り入れたアイテムが引き続き多い。大きく張り出すスクエアショルダーのTシャツやシャツ、マキシ丈のニットドレスやステンカラーコート。ストリート調やベーシックなアイテムをヴェットモンの色に染めていく。パンツスーツにメタリックなハイネックトップ、ランジェリードレスにハードなサイハイブーツといった具合に、マスキュリンもセンシュアルもパンチのあるアイテムをぶつけてエッジの利いたルックに。体のラインに沿うマキシドレスには、目鼻口の開いたフェイスマスクを頭からかぶる。柄のインパクトも強い。
シャツとミニスカートとサイハイブーツの組み合わせは、暗闇でメラメラと燃え上がるグリーンやパープルの炎柄と稲妻柄。真っ赤に染まった雲の背景と相まって、ディストピアのようなどことなく怖いイメージを演出する。一方で、シャツやジャケットには英語で「今日が人生最悪の日なら明日はきっと良いだろう」と、今に対するポジティブなメッセージが刺繍されている。ルックの後半の背景は、虹のかかる滝や後光が差す青空。どんな背景でも揺るがないスタイルを発信している。
「プランC」は、ワークやミリタリーの要素を取り入れたエフォートレスなルックを、ブライトカラーと彫刻的なボリュームで描いたポジティブなイメージ。キーアイテムは、グリーンやオレンジ、イエロー、ブルーのタートルネックトップ。細身の鮮やかなインナーが、シャツとワイドパンツ、ステンカラーコート、オーバーオールといった量感のある日常着をモダンに見せる。
随所にちりばめられたカラーブロックは、プレイフルな気分をプラス。ベージュのシャツの胸元にはグリーンの太いバンド、ドレスの胸元には鮮やかな色のパッチポケット、2色のカラーブロックのソックスもアクセントになっている。スタイリングもコントラストが鍵。フェミニンな花柄ドレスにはキルティングのマウンテンパーカ、ストライプのシャツにはジグザグ柄のニットベストと、色柄をセンス良く重ねていく。海や森といった自然の中に白バックの舞台を置いて、背景もコントラストを際立たせた。Zoomで説明したデザイナーのカロリーナ・カスティリオーニは、「(コロナ禍の)状況は続くが、せめてポジティブなエナジーを持って未来に進もうという気持ちを表現した」という。
ジュエリーがヒットしている「トムウッド」のウェアのコレクションは2シーズン目。コンテンポラリーな10型のみの「エッセンシャルワードローブ」を、レディスとメンズで提案する。手掛けるのは、クリエイティブディレクターのモナ・ヤンセンとヘッドデザイナーのマティア・ヴァン・セヴェレン。サステイナブル(持続可能)を基本理念にするブランドだけあって、必要最低限のシンプルな機能アイテムを、長く愛用できるように作っている。ミドルゲージのセーターは、ほっこりした質感だがアシンメトリーのネックラインがスタイリッシュで大人っぽい。すとんとしたシルエットのシャツやドレスは、身頃をツイストするとウエストがシェイプされてドレッシーに着こなせる。ノルウェー出身の女性モダニズムアーティスト、アーセ・テックスモン・リグの彫刻から着想した。
防寒性と保温性を重視したコートやジャケットも揃う。カラーパレットはアースカラーのほか、白、黒、ゴールドなどが差し色。マスキュリンからリラックスまで、少ない型数でさまざまなスタイリングが楽しめる。サステイナブルな素材選びも特徴のひとつ。先に発表した環境への影響が少ない「ローインパクトデニム」コレクションに加え、柔らかな肌触りのニットはデットストックウール、シャツやジャージーはオーガニックコットンを使っている。
「アライア」は、シグネチャースタイルを再考し、現代の生活にフィットするイメージが加わった。デザインの中枢にあるのはもちろん、強さと官能性。体を強く、美しく見せることを重視している。主力のニットドレスはロング丈のセミフレアやミニ丈のフレアシルエットが多く、伸縮するピースを体に合わせてしなやかな形を作っている。柔らかな防具を思わせる流線的なニットドレスやバスク地方に由来するリブ編みのセーターは、クラシックなフォルムに快適さが加わった。日常的なイメージのパーカ付きのミニコートやトレンチコートなどデイリーなウェアも新しい。ボリュームのあるフレアスカートは、レーザーカットによる透かし彫りが開放的。コルセットベルトでウエストを強調する。
アーカイブを元にしたエディションの新作は約30着。これまでと同様に1981年から2017年までの作品で構成されている。07年のニットウェア「クリノリンローブ」、06年のシープスキンのコート、04年のジャージーの「女神のドレス」、1989年の「バスクシャツ」などが揃う。
(写真はブランド提供)