17春夏デザイナーコレクションが終わりました。「今回も大きな変化があった」という、繊研新聞のコレクション取材チームの小笠原拓郎編集委員と青木規子記者に帰国直後に話を聞きました。( 小:小笠原拓郎 青:青木規子)
―今回披露されたコレクションに変化はあったの。
青:「ガールズパワー」(写真下、左)ですよ。
小:そんな雑に言わないでよ。。。ファッションは、ファッションを楽しみたい、楽しんでいる女性、女の子、そういう人のためにあるものだと感じさせるシーズンだった。
―というと。
小:ファッションは、限られたお金持ちのためのものぜいたく品ではなくーそういう側面はもちろんまだあるけどー本当にファッションを楽しみたい女性たちに自分たちのファッションを届けたい、そう感じさせるデザイナーたちがすごく輝いたシーズンだと思う。それが今シーズンの大きなテーマ。
今回のトレンドセミナーでも、「ガールズパワー」が最も新鮮だと挙げた。デザイナーたちが、女の子たちのパワー、熱を大事にしなきゃな、と感じているんだと思う。
青:そういう気分とかムードを表現したのが若いデザイナーで、ここ数年、「若手が出てきた」「若手の勢いがすごい」と繊研で言い続けてきましたけど、そんな主役の若いデザイナーが一気にムードを形にしたシーズンだったと思います。
―なるほど。
青:過日も日本で対談やってたコシェもそう。彼女は、すごく大きくショッピングセンターで一般人が行き交うなかで発表し、すごく勢いを感じました。
青:そのコシェだけでなくーパリが特にそうだったんですがーYプロジェクトやオフホワイト、ロンドンもマルケス・アルメイダなどがその代表。今回セミナーの準備で写真を選んでいると、若手ばっかになってしまっているんですよ。ちょっと偏っているかしら。
小:偏ってるな。
青:…
―老舗のブランドもそう?
小:まあ、そうだね。日本だけでなく、世界でも若い人たちは洋服を買わなくなった。でも、ファッションは好きでたまらない人に支えられてきたはず。そこに届けたいというのは老若共通していると思う。
―ファッション好きに届けたいというのは、要するにマーケットに媚(こ)びてるって感じ?
小:媚びてるというか、やっぱり今、コレクション、ランウェイのファッションが、実際にファッションが好きで一生懸命楽しんでいる女の子たちに届いてないんじゃないかという問題だと思うんだよ。届いてない、売れてないから「シーナウ・バイナウ」とか言ってるわけで。この間動きとしてあるよね。
そういう子たちに届いてないというジレンマや葛藤がデザイナーにあるんだと思う。それを届けようということだと思うんだけど。
青:ストリートとハイファッションとのかい離が進んじゃって、コレクションのトレンドがストリートに落ちてこない時期が長く続きましたが、今シーズンは一気に近づきました。
ーデザイン的にはどうなの。
青:今回は分かりやすいシーズンでしたね。装飾性がすごく増えているから、ディテールのバリエーションが多くて、、ドレープやフリル、ギャザーなどなど。あと、60、70年代のプリントがかなり広がって分かりやすかった。レトロパターンですね(写真上、右)。
―その背景は?
青:70年代スタイルはここ数年、定着して売れるパターンになっていて、その継続として広がった印象。柄のトレンドもここシーズン続いてましたしね。あと女性の多面性もテーマとして大きいんじゃないですか?
小:ガールズパワーも含めて、いろんな女性らしさをどういう風に表現するのか、女性の美しさをどう描いたらいいのか、というのが今シーズンの大きな特徴だったね。そのひとつがガールズパワーであり、装飾を重ねたラインであり、またはボディコンシャスみたいに女性の体の曲線の美しさに焦点をあてたものがあった(写真下)。
―なるほど。
小:前シーズンのビッグシルエット、極端に大きい、小さいを表したエクストリームシルエット、これが、どういう風に展開されたのか。大きいのは前提としてあるけど、ただ大きいだけでなく、そこにどういうアクセントをつけるかがポイントになっていた。
青:袖は太く、長いのは継続していますが、ウエストは絞るんですよ。例えば、下の写真のように、Tシャツは大きいけど、サイズ感はタックでシェイプさせて、コントラスをつける、ような。
ーでは、続きはトレンドセミナーで。
◆17年春夏繊研レディストレンドセミナーを大阪、東京で開催
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◇日時・場所
10月31日(月)13:00~16:30《東京》日経ホール
10月28日(金)13:00~16:30《大阪》エルセラーンホール
◇講師=小笠原拓郎、青木規子(本紙記者)