【パリ=小笠原拓郎】19~20年秋冬レディスコレクションは、いよいよパリへと舞台を移した。パリの初日は新人、若手によるショーが相次いだ。マーケティングなどにとらわれない若手デザイナーのコレクションは、自由なエネルギーにあふれている。
(写真=大原広和)
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昨年のLVMHヤングファッションデザイナープライズの特別賞を獲得したロックが、パリ・コレクションにデビューした。デコンストラクトのデザインを、軽やかなストリートのムードとともに表現する。
解体されたトレンチコートにスカーフのようなハーネス柄が漂い揺れる。テーラードコートは共地のラップスカートのような布を巻きつけてレイヤードのように見せる。ハトメやリングのメタリックな装飾と、解体され重ねられた布が迫力を作る。そんなテーラーリングと合わせるのは、19年春夏からトレンドに急浮上したボディースーツ。スカーフのハーネスや木の葉のプリントドレスは身頃の途中から溶けたように柄が消えていく。トレーナーに描かれたロゴのグラフィックにもセンスの良さがうかがえる。デザイナーのロック・ファンは英国のセントラルセントマーチン美術大学を卒業後、「セリーヌ」などで経験を積んだ。
ジャックムスは八百屋や花屋、パン屋が建ち並ぶジャックムス広場を作って披露した。
フロントに折り畳んだ布のディテールが特徴で、ジャケットやドレス、チュニックなどのウエスト位置でスクエアの布が畳まれる。オフホワイトのセットアップやチュニックの一方で、ピンクやオレンジの色鮮やかなドレスやチュニックもいっぱい。共地のストールを下げたディテールのニットトップに、花を立体的に刺繍したセットアップなど、シンプルな中にちょっとした装飾で変化を作る。セットアップのウエストにポーチのような膨らみを作ったディテールも目立つ。
オットリンガーのショー会場には、モトクロスバイカーや、スケーター、アメリカンイーグルの絵が次々に描かれる。
ニットのセットアップやアンサンブルから始まったショーは、ベアバックドレスやデニムセットアップへと続く。存在感があるのは、モトクロスブルゾンとモトクロスパンツ。アクティブなスタイルの一方で、繊細なストリングス刺繍のセットアップや、しわ加工のドレスも見せた。