普段私たちが着ている衣類には様々な繊維が使われているが、大きく2種類に分けられる。植物や動物、鉱物など自然界にある素材を使った天然繊維と化学技術で人工的に作られた化学繊維だ。身近な素材にもそれぞれ歴史や特徴がある。本連載では、繊維の基礎知識を一から紹介していく。
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天然の多彩な機能性
冬に着るスーツやセーター。暖かさを支える代表的な天然繊維が羊毛だ。羊毛とは羊の体毛のことで、繊維業界で一般的に「毛」といえば羊毛を指す。
羊毛は年に1回、春に刈り取られ、1頭当たり約4キロ採れる。これはメンズスーツ約1着分に相当する。
動物の体毛は一般的に、太く長い「ヘア」と、細く短く紡績に適した「ウール」に分けられる。しかし、品種改良により羊の体毛はほとんどがウールとなった。羊毛は人間の髪の毛と同じたんぱく質で、繊維表面はうろこ状のスケール、いわゆるキューティクルで覆われている。
代表的な特徴は優れた保温性だ。繊維の縮れによって多くの空気を抱え込み、その空気が断熱材の役割を果たす。また、スケールが水を弾く一方、隙間から湿気を吸収、放出するため、撥水(はっすい)性と高い吸放湿性を併せ持つ。このため蒸れにくく、スポーツ用途にも採用される。
さらに、吸収した湿気によって繊維自体が発熱する性質もある。弾力回復性にも優れ、乾いた状態ではしわになりにくい。一方で、濡れるとしわが定着しやすい性質を生かし、プリーツ加工が施されることもある。
そのほか、自己消火性や染色性も優れ、幅広い衣料用途で活用されている。

代表的なメリノ種 12世紀スペインで開発
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