かばんメーカーの吉田は「ポーター」で今年40周年を迎えた「タンカー」シリーズを全面的にリニューアルする。24年春夏物からバッグに使う素材を東レと共に開発し、初めて量産化する100%植物由来のナイロンに切り替える。「自然と共生する」素材に生まれ変わることで、改めて日本の職人技を駆使したバッグで海外販路の開拓に力を入れる。
このナイロンは東レの「エコディア」N510で、由来資源は「トウモロコシ」と「ヒマ」。石油などの化石資源を使わず、温室効果ガスの排出量も削減できる。生産は東レが70年以上前にナイロンを初めて量産化した愛知工場。ここには当初から大切に使っている設備とDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した新しい機械・システムが共存する。事業化して以来、受け継ぎ、発展させてきた設備と技術でポーターの求める品質、強度やしなやかさ・光沢などを備えた100%植物由来ナイロンができた。リサイクル素材とは別の手法によるサステイナブル(持続可能)な素材だ。
新たなタンカーシリーズは50型から40型に絞り込む。定番の形をベースに内装や外ポケットなどディテールをアップデートする。来春にはセージグリーン、来夏にアイアンブルー、来秋にブラックを提案する。
同シリーズは専門店などに卸販売してきたが、ポーターの直営店のみでの販売に切り替える。大量生産・消費型の素材ではなく、高コストで価格も約2倍に上がり、接客時の丁寧な説明が重要となるためだ。販路を直営店に限定する分、新タンカーシリーズの認知度向上へ全国の有力店での期間限定店を開催する予定。来年1月からパリやニューヨークの展示会に出て、海外市場でも勝負をかける。