ヤマトインターナショナルはECを軸にした新規事業が順調に進んでいる。EC専用のメンズブランド「シテラ」は今秋に2年目を迎え、ショールーミングスタイルの旗艦店出店も視野に、顧客とコミュニケーションする場作りに力を入れる。
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「昨年9月のスタートからウェブマーケティングのおかげで一気に知名度が高まり、ファン作りにつながった」(長尾享諭執行役員マーケティングコミュニケーション部長)という。一般的に無名のブランドながら、SNS(交流サイト)やウェブ広告、協業イベント、期間限定店の開設などに集中投資したことが大きい。
期中にセールをしない、型数を絞り込んで提案するなどの販売手法も支持されている。16~18年の3年間は投資フェーズと位置付けており、一過性のブームで終わらないように定期的な話題づくりを重視する。物販よりもモノを伝える場として、リアルなタッチポイントを増やしている。
今秋にはメディアやインフルエンサーなど業界内のクローズドなイベントとして期間限定のオープンアトリエを開設した。同空間ではディレクションを担当する「ビズビム」の元創業メンバーの永直樹氏のパーソナルな世界を表現した。
天井が高い開放的なスペースにドラムやギター、キーボードなどの楽器とシテラのウェアやグッズが並ぶ。商品は都市部での短距離移動にも都市間での長距離移動にも適した「アクティブ・トランスファー・ウェア」をテーマに開発した。
ディレクターがリコメンドするコーヒーをふるまい、女性を起用したルックなどインスパイアされているブランドの背景も共有してもらう。「伝え方や伝える内容を吟味し、何が新鮮かを常に考え、他がやらないことにチャレンジしたい」(長尾執行役員)としている。
今年春夏にバッグ数型からECでスタートした「ペンフィールド」も都会的なアウトドアテイストのブランドとして新たなファンを獲得している。シーズンごとにフリースなど厳選した商品を増やし、期間限定店の取り組みも継続している。
今秋にはアーバンリサーチをはじめジャーナルスタンダード、エディフィスなどセレクトショップへの卸売りも広がっている。第2フェーズに予定する直営店開設の準備も進める。