ジーンズ洗い加工のフーヴァル 水や薬品を大幅削減

2020/01/07 06:30 更新


 ジーンズ洗い加工のフーヴァル(岡山県倉敷市)は、昨年10月から新設備としてジーノロジアのe-flowを試験稼働させ、水の使用量を大幅に削減するナノミスト加工を開発した。

 20年春には新工場も稼働させ、縫製やOEM(相手先ブランドによる生産)部門を移転する。洗い加工だけでなく、OEMや自社ブランドの提案も推進し、19年12月期は2ケタ増収を見通す。

(小畔能貴)

 e-flowはナノバブルを発生させる樹脂加工機で、「以前から関心があり、本国のスペインまで見に行った」(石橋秀次社長)。水を7~8割、薬品を7割ほど減らしたサステイナブル(持続可能)な洗い加工を、ナノミスト加工と名付け、これから本格的に提案する。

 e-flowを活用した加工について、「環境に優しいし、従来の設備では出せない表情を実現できる。取引先の反応もいい」という。ネルなどデニム以外の素材に使用したり、チノパンツの製品染めにも同機械を応用するなど、積極的に提案の幅を広げる試験も進めている。

 1月に東京でナノミスト加工を中心にした自社の展示会を開き、取引先にアピールする。4月には、もう1台の導入を予定しており、量産にも対応できる体制を整える。

 縫製やOEM部門の拠点となる新工場は2~3月に完成する予定。倉敷市児島の小川町にある3階建ての建物を購入し、改装して活用する。1階をオフィス、2階を縫製、3階を商談や商品撮影のスペースとする。

 4~5年目になる縫製部門は現在、ミシン30~40台の設備だが、新工場への移転に合わせ10台近くを増強する。自社ブランド「ブルーサクラ」をはじめ、社外からの受注にも対応している。3年目となるOEMは、海外と国内どちらの生産にも対応しており、メンズが中心。デニムアイテムだけでなく、様々なカジュアルアイテムを手掛けている。「特に新規の取引先は洗い加工よりもまずOEM受注が多い」というように、新規開拓にもつながっている。 

 同社の19年12月期は、売上高が前期比15~20%増の8億円前後となる見通し。洗い加工は前年より苦戦したが、OEMや縫製、自社ブランドの小売事業が健闘した。売り上げ構成比はOEMが6割、洗い加工や縫製が3割、自社ブランドが1割。

「新工場の稼働に合わせ人材も積極的に増やしたい」と言う石橋社長
e-flowで水や薬品を大幅に削減した洗い加工


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