Ⅹでは繰り返し「日本で売っている服はサイズが小さく、やせ型の人向けばかりだ」という議論が起き、紛糾する。SPA(製造小売業)やファッションビルを中心に店舗を出している大手ブランドが、名指しで批判されることも少なくない。特に「理想の体形を消費者に押し付けている」という意見をよく見かける。
確かに、各ブランドには定めたターゲット層があり、それに合わせて服を企画することが多いだろう。一方で、ある雑誌の記事では玄人向けのトラッドブランドのデザイナーが、「既製服のパターンはどこかで最大公約数を考えなければいけない」という旨の話をしていた。ニッチな客層のブランドでも、大なり小なり多様な体形を意識した服作りをしている。
大手ならなおさらだ。正価消化率の向上が至上命題の一つの今、客層を過度に狭めようとするブランドは少ないだろう。サイズ感も実績や売れ筋を加味して慎重に決めているはずだ。
「理想を押し付けようとしている」という消費者の誤解を解くためのSNSでの発信も必要なのかもしれない。
(夏)