《視点》ちりも積もれば

2025/09/04 06:23 更新NEW!


 大量生産・大量消費が問題視されるファッション産業。環境に優しい方向性を探る動きが広がっているが、ビジネスとして成功させるのはなかなか難しいようだ。

 ある中堅デザイナーは、廃棄を出さないビジネスモデルを作りたくて16年前に独立。友人と自動でパターンを調整できるシステムを開発し、ネットで注文できるオーダーメイド服を立ち上げたが、「早すぎたのか、うまくいかなかった」という。「日本は、服で自我を強く出したい人は少ない。インフルエンサーをまねてアイコンに同化する消費の仕方も目立ち、選択肢が多いと迷うので希望者は少なかった」と話す。

 その後、医師向けのデザイン性の高い白衣のブランドで成功。シーズンが無い商品でセールもなく、正価消化率95%。サイズやデザインのカスタム、フルオーダーにも対応しているためリピートする客が多く、「無駄がなく、求められている物を作っているやりがいがある」という。

 マス向けのエコファッションの仕組み作りは難しいが、ちりも積もれば…。個別ニーズに対応し、負荷の軽減を重ねる努力を続けてほしい。

(陽)



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