友人の誕生日を生演奏が聞けるジャズバーで祝うことになった。ダウンライトの落ち着いた空間は、50代前後の男女が集っているに違いない。そんなイメージを思い浮かべながら、おしゃれをして出かけると、客の大半が若者で驚いた。
年の頃は30代前半。しっかりドレスアップして、気取った表情で音楽に耳を傾けている。独特なムードに気後れしてしまいそうだが、彼ら彼女らはへっちゃらの様子。ジャジーな時間を存分に楽しんでいた。
しかし、なぜジャズバーに若者が。身近な20代に聞いてみると、遊びたい盛りの青春期とコロナ禍が重なったため、思い出をつくることに貪欲(どんよく)なのだという。私にとってそういう大人の空間は先輩方に連れて行ってもらう場所だったが、彼らは自らつかみに行く。頼もしい限りだ。
ジャズバーだけでなく、レコードバーやクルーズディナーも若者が多いと聞く。飲んで食べるだけでなく、独特な時間を体験する。そういう積極的な行動がファッションや文化を盛り上げる。久々に夜の街を出歩きたくなった。
(規)