「自分の分身がいれば…」。経営者はこう思うことがあるのでは。プロジェクトのリーダーなどを自分がやったほうがうまく事が運ぶのに、時間的制約などからそうできず、歯がゆさを感じている人も多いと思う。
先日取材したある小売りチェーンの経営者もそうだった。
改革を任され外部から招かれた人物で、赤字部門のリストラやシステム整備まではスムーズに行ったが、営業部門の立て直しが遅れた。
理由は店舗運営が本社の指示通りになされなかったこと。例えば、接客を手厚くするため販売員を増やす方針だったのに、売り上げが増えない店では経費削減のため採用を勝手に手控えていたのだ。「もっと自分が店舗に張り付いていれば…」と社長は後悔をにじませていたが、人を動かすのもリーダーの仕事。任せて、学ばせ、自分と別の個性を持った〝分身〟を育成するのも重要だと思う。
(潤)